翌日。
ベルギーの北部にあるアントワープのゴシック様式の聖母大聖堂。
ルーベンスのキリストの降架でも有名な教会。
幼い頃に読んで何度も泣いた『フランダースの犬』に出て来た教会。
その有名な教会で、厳粛な雰囲気の中、私達は三回目の挙式をあげた。
どうやら国から国に移動する時に一、二日くらいの新婚旅行を挟みつつの挙式のようだ。
私が『旅行好き』と言ったことを覚えててくれているみたいで、観光名所を必ず押さえてくれている。
「えな?」
「あ、はい」
「欲しいものとか、食べたいものとかあったら、遠慮なく言え」
「……はい」
隣りに哲平さんがいてくれるだけで、他は何も望んでない。
同じ景色を同じ時間に過ごせる。
これだけで倖せだもの。
彼は観光しながら次々へと買い物していて、それを見るだけで充分な観光になる。
*
ベルギーの次はノルウェーに到着した。
さすがに十一月上旬とあって、空気がピリッと刺すように痛い。
ふわふわもこもこのコートを羽織り、お揃いのマフラーをして。
「寒くないか?」
「大丈夫ですっ」
北欧というだけあって、気温がぐっと下がって、底冷えがハンパない。
だけど、寄り添ってくれる彼のぬくもりがあるから、倖せに勝るものは無い。
中一日観光をして、翌日に挙式を挙げた。
フィヨルドが生み出す美しい入り江に面した崖の上に佇む木造の教会。
釘を一本も使わないというウルネス木造で、ヴァイキングの造船技術を応用して作られたスターヴの教会で現存する中では最古の教会だという。
凜とした空気を纏う、『ターヴヒルケの女王』と呼ばれる教会で四度目の愛を誓った。



