ホテルに戻り、着替えをしながらスタッフの会話を聞いてしまった。
『明日の挙式に使うドレスを先に準備しておいて』って、どういうこと?
まさかとは思うけど、明日も挙式するってこと?!
鏡越しのスタッフを射抜く勢いで見据えていると、私の視線に気づいたスタッフが笑顔を向けた。
「えな様、如何されましたか?」
「あの、……明日も挙式があるんですか?」
「はい、ございます」
「え」
にこりと向けられた笑顔に唖然としてしまった。
「あの」
「はい」
「この旅行って、新婚旅行ですか?」
「……そうだと思われますが、私共は挙式旅行だと伺っております。行く先々でのサポートをするのが仕事ですので」
「……行く先々」
既に三か国踏んでいる。
トランジットがあったにせよ、まだ先は長そうだ……。
「三時間後の便で次の目的へと向かうことになってますので、ご準備を」
「……はい」
次の国がどこかは分からないけれど、挙式があることは理解した。
……哲平さん、貴方、何を考えてるんですかっ!!
**
三箇所目の挙式が行われるのはベルギーらしい。
空港に到着した私達は、用意されている車へと乗りこむ。
彼は仕事が入ったのか、電話で佐川さんと話をし出した。
ホテルに到着し、豪華すぎる食事を目の前に、彼に思い切って聞くことにした。
だって、モヤモヤした気持ちのままじゃ、美味しいお料理が喉を通らない。
「あの、哲平さん」
「ん?」
「挙式って、あと何回くらいあるんですか?」
「おっ、やっと聞く気になったか」
「え?」
「お前、日程とか全く聞こうとしないし。『楽しみにしとく』って言ってたから、俺から言うのもどうかと思って」
「……あ、そんなこと言いましたね、私」



