Special Edition ②


いつもながらに唐突に言う彼。
だけど、今井さんが準備してくれるなら安心だ。

前に『一泊』と言われ、小さいキャリーに一泊分の荷物を詰めたらダメだしされたもの。
だから、彼の言葉は鵜呑みに出来ない。

「良かったですね、えな様」
「………はい」

何が良かったのか、さっぱり分からないけれど。
とりあえず、笑顔には笑顔で返しておけばいいらしい。
私は目の前の美味しいお料理を頬張って、その場の雰囲気に合わせることにした。

***

「えな、30分後に出発するぞ」
「あ、はいっ!!」

彼が言う『旅行』の日を迎えた。
部屋の隅に置かれていた馬鹿デカいキャリーケースは、いつの間にか部屋から消えていて。
恐らく、今井さんが車に積み込んでくれたらしい。

私は今井さんが用意してくれた服に着替えて、髪をハーフアップにセットしていた。
少し前に彼から買って貰った綺麗なバレッタで留めて――。

**

「えな様、出発のお時間です」
「はい、今行きます」

ピーチオレンジカラーのグロスを乗せ終わった私はそれをバッグに仕舞って、部屋を後にした。

ファサードに横付けされている車へと向かう途中。

「例の物は、ケースのファスナー側の中にございますので」
「はい、分かりました。有難うございますっ」

彼女が言う『例の物』とは、彼への誕生日プレゼント。
数日後が、彼の誕生日。
何とか間に合って、昨日今井さんとラッピングをした。
喜んで貰えたらいいんだけど……。

玄関に着くと、いつもとは違う車が横付けされていた。
荷物が多いから?かもしれない。