Special Edition ②


「腹減った、食事にするぞ」
「……はい。着替えて来ます」
「待っててやる」
「……ありがとうございます」

はだけた胸元を覆い隠し、急いで隣の部屋へと。
清楚な水色のブラウスに着替えて、ドレッサーで髪とグロスを手早く直す。
急いで彼の部屋へと戻ろうとドアを開けると、壁に凭れるように彼が立っていた。

「お待たせしましたっ」

スマホを眺めている彼の元に歩み寄った、次の瞬間。

「悪かったな」
「……いえ」
「すまない、痛い思いをさせて」
「え?」

スッと伸びて来た彼の指先。
ブラウスの後ろ襟部分をそっと抓み、先程引きちぎった時の赤みを気にしているようだ。

髪をシニヨンに纏め上げているから、はだけた状態で自室に戻る時に視界に入ったのだろう。
彼は申し訳なさそうに私の体を抱き寄せた。

「大丈夫ですよ、これくらい」

少し度が過ぎる彼の行動も、だいぶ慣れて来た。
DV?
これが世にいうDVなのかは分からないが、別に頬を叩かれたり、蹴られたりしているわけではない。
彼の常識の範囲が、ちょっとだけ逸脱してるだけ。
だから、全然気にもならない。
……私、相当彼の盲愛に毒されているようだ。



美味しく夕食を戴いていると、何やら彼と今井さんが小声で話し始めた。
何かを指示してるのかしら?
会話に入れず部外者みたいで、少し寂しさを覚えた、その時。

「えな」
「っ?!……はい」
「明後日から旅行に行くぞ」
「明後日から?……どこに?」
「行き先はお楽しみだ」
「へ?」
「今井に荷物の準備を頼んだから、必要なものがあれば、明日買いに行くといい」
「……はい」