ムスクの香りを纏うベッドに体が投げ出され、滑らかな絹地に埋もれる感じに体が横たわる。
軽い衝撃を受けた私の体は、何度も経験しているのに、起き上がるのを放棄したみたいで……。
ネクタイを緩めながら覆い被さるように跨った彼は、鋭い視線で見下ろして来た。
……機嫌が悪そうだ。
「哲平さん?」
「俺を試すつもりか?」
「……何のこと?」
ネクタイを抜き取り、Yシャツのボタンを二つ外した彼は、僅かに怯える私の唇を塞いだ。
有無を言わさぬ荒々しいキス。
執拗に追われて、息をする暇さえ与えて貰えぬほどに。
普段は乱暴な物言いをしても、ベッドに放り投げても。
その後は優しいキスの雨を降らすのに。
何故か、今日の彼は私を咎めるみたいなそんなキスをする。
息苦しくなって彼のシャツを掴もうとした、その時。
「ッ?!!!」
ブチブチッとブラウスを引きちぎられた。
露わになった胸元。
無理やりブラウスを引っ張られたことで、後ろ首に襟がくい込んでジンと痛みを帯びる。
だけど、そんなことはどうでもいい。
目の前の彼の視線が、稀に見る怒りに満ちた瞳をしているから。
「私っ、……何かしましたか?」
突き刺さるような鋭い視線。
けれど、それが怖いんじゃない。
彼に嫌われるんじゃないかと、不安に襲われる方が余程恐怖だ。
みるみるうちに視界が歪むほど、目に涙が浮かぶ。
彼に嫌われたくない。
「何か、悪いことしたなら仰って下さいっ。直しますから……」
思い当たる節が無い。
ここ数日、書庫で編み物をしてるだけなのに。
「えな」
「……はい」
怒っていても甘く痺れるようなバリトンボイスに、胸がキュッと抓まれた、次の瞬間。



