Special Edition ②


17時にセットしておいた携帯アラームが鳴った。
編みかけのスヌードを籠に入れ、籠を抱えて自室へ急ぐ。

今日は18時に帰宅予定だから、その前に出迎える準備をしないと。

クローゼットに籠を隠して、身支度を整える。
前は帰宅前にシャワーを浴びたけれど、今は夕食後に入浴をしている。
それも、頻繁に彼が『一緒に』と言うから……。
新婚だし、彼のいう事は絶対条件みたいなものだし。
女の子の日ではない時以外、断ることが出来なくて……。

身支度が終わった私は、一階に下りて今井さんの手伝いをする。
テーブルコーディネートが私の役目。
既に殆どが終わっていて、私はテーブルの上に飾る花を生けた。



帰宅を知らせるメロディーが室内に響き、今井さん達とエントランスへと。
高級外車の黒塗りセダン車がサファードに横付けされ、運転手の高橋さん(白川さんの後任)が後部座席のドアを開けると、風合いのあるブラウンのストレートチップの革靴が優雅に現れた。

「おかえりなさい」
「ただいま」

使用人さん達が見守る中、彼は私の元へと歩み寄り、長い腕で抱擁する。

以前の彼は、一瞥して終わりだったのに。
入籍した途端、使用人さん達の前でも堂々と抱き締めるし、時には唇も奪われる。
『夫婦なんだから当たり前』だと彼は言うけれど。
ここ、日本です。
挨拶にキスする日本人が一体何人いるだろうか?

高橋さんから彼の仕事鞄を受け取ると、彼は私の手首を掴んで歩き出した。
掴まれている手首の痛みと歩くスピードで彼の機嫌が分かる。

部屋に入るや否や、ドアを無言で閉めた彼にベッドへと放られた。