「ごめんなさいっ、それ書庫にお願いしますっ!ご馳走様でした~」
昼食を食べ終え、使用人さんが紅茶を淹れようと茶器を温め始めたのを横目に見据え、席を立った。
そして、急いで二階の書庫へと一目散に。
「えな様っ!!」
「ごめんなさぁ~いっ!」
食後は優雅にお茶を戴くものなんだけど、ここ最近は優雅にお茶を戴く時間も惜しいほど、とある事に夢中になっている。
というのも、時間が無限にあるわけじゃないから、限られた時間の中でそれをしなければならなくて。
大理石のアーチ状の階段を駆け上がって、自室に駆け込む。
ドレッサーの中に隠してある籠を手にして、三部屋隣の書庫へと急ぐ。
窓際のソファーに腰を下ろし、籠を体の横に置いて―――。
数日後に哲平さんの誕生日がやって来る。
婚姻届けを出す際に生年月日の欄を見て、初めて知った。
以前、運転免許証を見せて貰ったことがあるが、あの時は本名と本籍しか見てなかった。
だから、入籍後に知った彼の誕生をどうやって祝おうか、ずっと考えてて。
いつも貰ってばかりだから、何かプレゼントしたいのだけれど、彼は何でも持ってる。
私に出来ることなんて限られているもの。
今井さんに相談したら、『えな様のお気持ちが籠ってるものなら何でもお喜びになりますよ』と。
気持ちが籠ってるものって、何?
すぐに思い浮かぶのが『手作り』という安直な考え。
ケーキでも作ろうかと思ったけれど、形として残らないから、少し寂しい感じもする。
それで、思いついたのがこれ。
手編みのマフラーとスヌード。
便乗して、色違いで自分のものを作ってるんだけど……。



