月末。
数か月ぶりに夫婦水入らずで遠出。
近場の温泉という予定だったが、地方都市の店舗視察も兼ねて、二泊三日の温泉旅行となった。
羽田から一路、山口宇部空港に到着した私たち。
レンタカーで片道二時間。
本州と角島とを結ぶ、角島大橋をのんびりドライブ。
コバルトブルーの海は、南国のリゾートを思わせる美しさ。
壮大な景色の中に浮かぶ緑豊かな島へと真っすぐ伸びる橋。
ゆったりとした時間が流れ、日頃の疲れが一瞬で吹き飛ぶほどの絶景だ。
「お天気も良くて、絶好の旅行日和ね」
「そうだな」
雄大な景色を肌で感じるように両手を広げる。
眩しいほどに降り注ぐ陽の光を堪能し、普段オフィスに籠りきりの体には特効薬のようだ。
「ん~、生きてるって感じる♪」
「大袈裟な」
「ホントだってば。普段パソコンと睨めっこしてるから、こういう大自然のエネルギーチャージは貴重なんだから!」
しょっちゅう頻繁にあちこち飛び回ってるいっくんには分からないだろう。
好きでしている仕事だけれど、たまにはこういう贅沢もしたくなるんだから。
「お腹空いたな。サザエや北浦特牛イカが有名らしいぞ」
「食べたーい!!」
「食べたら、また少しドライブだ」
「うん!!」
事前に調べてくれていたようで、私たちは角島で新鮮な魚介類を堪能した。
昼食後は日本海を眺めながら車でおよそ一時間。
城下町で有名な萩市へと辿り着いた。
幕末期に吉田松陰が主宰した松下村塾。
木造瓦ぶき平家建て、八畳一間、四畳半一間、三畳二間という小さな家屋。
高杉晋作や伊藤博文などを輩出した有名な寺子屋だ。
「風情のある建物ね」
「一見の価値ありだな」



