突然予想もしない言葉を投げつけられた。
「どういう意味ですか?」
「ご存知ないんですか?二日前に慰労会のような形で、担当者で食事会をしたんですよ。その後に二次会がありまして…」
勝ち誇ったような表情を浮かべる戸崎。
優雅に珈琲に口を付けた。
「東京とは飲みルールがちゃうんやろな。……あんな抱き心地、癖になるで」
「っ……」
突然大阪弁で挑発して来た。
璃子さんがハグ魔なのは、俺しか知らないはず。
正確には市さんや松雪さんは知ってるけど、他言するような人たちじゃない。
それに、酔い潰れるほど外では飲まないはずなのに…。
「お言葉を返すようで申し訳ないのですが、仕事の話では無さそうなので失礼します」
「おっ、……職場でそういう顔もすんねや」
憤慨する気持ちをぐっと堪え、席を立つ。
「何がしたいのか分かりませんが、これだけは言っておきます。俺が彼女と知り合ったのは、蓮水の後継者としての全てを伏せた状態で知り合いましたし、仕事は『八神』という母方の性で入社試験を経て、この会社で一から学びました。貴方がどう思おうが関係ありませんが、個人的な感情を職場へ持ち込まないで下さい」
「っ……こりゃほんまもんや」
「は?」
「いや、失礼」
あっけらかんとした表情で腰を上げた戸崎は、表情を一変させ深々と頭を下げた。
「改めまして、先程の言動をお詫び致します」
「……?」
「あんなにも素晴らしい人材を失うのは惜しいと思ったのは事実です。もちろん欧州に連れて行きたい気持ちも。ただ、彼女には断れました。仕事は大事だが、貴方との人生があるからこそ、仕事も楽しいと」
「……」



