Special Edition ②



「蓮水さん」
「……ッ?!貴方は……」

午前中の会議を無事に終え、午後は外食産業の会合に社長の代わりに出席し、一旦社に戻った俺に声をかけて来た人物がいる。

「戸崎さん……でしたよね」
「お久しぶりです」

大阪支社の営業統括部長の戸崎。
海外プロジェクトの担当者で責任者でもある。
その男が何故、この場にいるのだろうか?

「奥様から聞いてなかったようですね」
「……はい?」
「来月から欧州に現地入りすることになってまして、その正式な手続きのためにここへ」
「あぁ~、妻から聞いてますよ」
「……今日、一緒の新幹線で来たことも?」
「ッ?!」

俺より十歳以上も年上であろう男。
どういうつもりで挑発のような態度を取ってくるのか分からないが、明らかに意味深な発言だ。

「今担当者が不在で待たされてるので、少しお茶でも付き合って貰えませんか?」
「……いいですよ」

彼の親指が一階に入っているカフェを指差す。
面と向かって話すようなことは何もないが、向こうは違うかもしれない。
いちいち話など聞かなくてもいいのだが、何だろう。
たった一ヶ月離れただけで、この男は璃子さんの何かを知ったというのだろうか?

「岡田、彼と少し話をしてくる」
「……はい」

秘書に声をかけ、脳内であらゆる想定をする。



「何か、話したいことでもあるんですか?」
「まぁ、そんなあからさまに牽制しなくても」
「するでしょ、普通は。妻がお世話になったとはいえ、ここは本社で、同じ部長ではありますが、ここは私の会社でもありますから」
「……フッ、若いなぁ、ホント」