Special Edition ②

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「本部長、そろそろ会議のお時間です。……本部長?」
「あっ、すまない」
「具合でも悪いんですか?」
「……いや、全然。むしろその逆♪」

今日は月一の投資家への財務報告をする会議がある。
俺が率いる新部署『IR企画室』は、企業の公平な証券価値を獲得することにある。
その為に、投資家へ定期的な経営報告を行うことで信頼を得ることが最重要案件だ。

岡田(おかだ)
「はい、本部長」
「休暇後のスケジュールの再確認をしたい。後でスマホに送ってくれ」
「承知しました」

会議室へと向かいながら、秘書の岡田 (とおる)(三十七歳)に指示を出す。

来週末の土曜日(二十九日)に挙式を控えている。
挙式後は新婚旅行が控えていて、十日間の休暇をとってある。

璃子さんが大阪支社に出向して一カ月。
最初はどうなるかと思ったけれど、何とか無事に乗り切れた。
今日、璃子さんが帰ってくる。
久しぶりに美味しいディナーでもと気ばかりが逸る。

夜には超特大のご褒美がまってるんだから、今は目の前の仕事を完璧にこなすぞ。

「大変お待たせ致しました」

第三会議室に入ると、既に多くの投資家たちが着席していた。

右肩上がりの経営状況とはいえ、手放しで胡坐を掻いていられる世界じゃない。
どんな些細のことにもアンテナを張って目を光らせ、常に俊敏且つ斬新な切り口で対応していかなければ、目の肥えている投資家たちを納得させることはできない。

「それでは上半期の財務報告と下半期の経営企画のご提案がこちらになります……―…」