芽依の実家から彼女をやっと自宅に連れ戻せた。
二週間ぶりの自宅に少しそわそわとしている芽依。
すぐさま冷蔵庫の中を調べ始めた。
「ちゃんと食べたよ」
「……よかったぁ」
安堵の溜息を零す彼女を背後からそっと抱き締めた。
「冷蔵庫の中身より、俺のことを気にかけてよ」
「っ……」
『あの子の心を包み込んであげれるのは、響君、君だけだよ』
芽依の父親が口にした言葉。
あの時は単なる社交辞令だと聞き流していたが、その後の彼女の言葉と照らし合わせ、父親として当然のセリフだと改めて実感した。
実の息子である芽依の兄は大学時代の病から生殖機能が低下し、子供を授かることができないと診断されたらしい。
そして、実の娘である芽依が、ブライダル検査で不妊をきたす恐れがあるほど、代謝が悪いと診断されたという事実。
我が子二人が同じような境遇だというのが親として受け入れ難いのは理解できる。
だからこそ、少しでも娘の不安を取り除きたかったのかもしれない。
少し強引だと思うけれど。
まだ十六時前。
さすがに初めてを貰うにしては早過ぎる時間か?
「夕食はどこかに食べに行く?」
「そうですね、冷蔵庫に食材がないので、買い物がてら外食にしますか?」
「ん、そうしよう」
久しぶりのデートだ。
江の島の旅行以来か。
「芽依」
「はい?」
俺の腕の中で振り返るように顔を傾けた彼女に口づけする。
二週間もお預けを喰らったんだ、優しい夫ではいられない。
八年も前から、ずっと君だけを心に住まわせて来たんだから。



