「えっ?……じゃあ、妊活?温活?のためにここに滞在してるってこと?」
「……はい」
「いやいや、必要ないだろ。籍を入れたその日に妻が拉致られる身になってみろ」
「っ……、すみません。父はあーいう人なので」
これまでの経緯を説明すると、驚き唖然とした彼は、長い長い溜息を吐いた。
「玄関に鍵が掛けられていたのは、私が中で「裸になるからか?」
「はい。佐山さんの気遣いです。鍵は彼が管理してるので、他の使用人も来客のような人も入れないようにするためかと」
「……そうか。俺はてっきり監禁されてるのかと」
「離れだからですか?」
「……ん」
「母屋には兄夫婦もいるので、お互いに気を遣うかと思いまして」
「あー、なるほど」
「ご心配お掛けしてすみません」
「いや、芽依が無事ならそれでいい」
「んっ……」
状況を把握した彼は安堵した表情を覗かせ、私を腕の中に閉じ込めた。
「じゃあ、もう帰れるよな?」
「……はい」
「この先のことは何も心配しなくていいから。俺の傍から離れないで」
「……はい」
「ホント、分かってる?」
「はい、ごめんなさい」
「指輪は?」
「あ、……あります」
「何で外したの?」
「検査する時に貴金属外さないとならなくて。ここに来てからは、ずっと温活してて、浮腫んだりふやけたりしてたので」
「それでか。……嫌われたのかと焦っただろ」
「嫌うわけないじゃないですかっ!十年もずっと……」
「俺のこと、好きだった?」
「っ……はい」
「かわいっ」
「っっっ」
照れる私の頬にチュッと触れるだけのキスをした。



