Special Edition ②



Nummer Eins(ノマ アイニス)のクルト社長と分かれた後、プロジェクトの担当者と会議をする。
一日も早く契約へと漕ぎ付けたいからだ。
気付けば、芽依が消えてから二週間が過ぎていた。

一応、芽依の父親には連絡を入れてある。
案の定、彼女は実家にいることが判明した。

両親の元にいるならば……と、一億歩譲って必死に感情を押し殺していたが……。

それも、もう限界だ。
結婚したら毎日安心して生活できると思ったのに。
結婚してからの方が苦痛だなんて、誰にも教わってないぞ。

妻がいる場所が分かっているのに、仕事を優先するばかり、今ある幸せが手から零れてしまいそうで。
不安なんて言葉では言い表せないほどに、正気が保てない。

コンコンコンッ。

「失礼します。……副社長、本日の打ち合わせですが…」
「悪い、大川。今日明日は中止にしてくれ」
「今日と明日ですか?」
「あぁ、悪いな」
「いえ、それは構いませんが、お体が優れないのですか?」
「いや、急用が出来て。悪いな」
「分かりました」

常務の大川がデスクに会議資料を差し出す。
それを手に取り、鞄に入れる。

「急用があれば、スマホに」
「はい、承知しました」

社屋を後にし、芽依の実家へと車を走らせる。
今日は芽依を迎えに行くために、自宅から自家用車で出勤している。

愛車を走らせ、気持ちばかりが逸る。
あと少しだけ我慢したら彼女に逢えると思うと、胸が高鳴って……。