Special Edition ②


「すぐ戻るから、ここで待ってて?どこにも行くなよ?」
「うんっ。頑張ってね♪」

ディランがキスした場所を消毒するかのようにキスで上書きする。
そんな俺の行動が嬉しいのか。
ひまりから笑顔が溢れてる。

こんな可愛いひまりをこの場に置いておくのは忍びないけど、ステージ場へは連れて行けない。
それこそ、色んな人の目に留まってしまいそうで。

彼女は俺だけに見られていればいい。
彼女の絵なら、幾らでも誰でもどんな所からでも見てくれて構わないけれど。

彼女だけは誰にも渡せない。



ディラン達の持ち歌の曲をR&Bバージョンで歌い上げ、その場にいる人たちから拍手を貰った。
ディラン達とハグして、席へと戻ると。

「ひまり?……え、どこ行った?」

ひまりの姿がそこに無かった。
脳内が一瞬でパニクって。
完全に思考が停止してしまった俺は、数秒、その場に立ち尽くした。

「マジで、どこ行ったんだよっ!」

急に焦りだす。
ってか、冷や汗がハンパない。

ネクタイを緩めて、必死に部屋中を探してみたけど見当たらない。
すぐさま部屋から飛び出して、隣の会場、その又隣の会場を探す。
けれど、どこにもひまりの姿が無くて。

トイレや控室のような部屋も確認したけど、ひまりはいないらしい。
残す所は、庭しかない。

駆け足で庭に出て、辺りを見回した、その時。

背中が完全に無防備の桜色のドレスを身に纏った女性の腰に手を回す男を発見。
一目でもひまりだって分かる。

しかも、その隣にいる男の正体も。

「Don't touch! She is my fiance.(触れるな!俺の婚約者だ)」