【瀬名くんside】
俺は扉を閉めた瞬間、床に崩れ落ちた。
「・・・ははっ・・・・」
自嘲気味な、乾いた笑いがこみ上げる。
正直に言うなら、あかりちゃんからの告白は心底うれしかった。
あかりちゃんが俺を好いていてくれることに、喜びこそすれ、嫌悪感なんて抱くはずもない。
あかりちゃんは俺のことを好いてくれていて・・・・必要としてくれている。
(・・・だた・・・もしこの告白を断れば・・・)
きっとあかりちゃんは離れて行ってしまう。
もちろん、友達でいたいって言えば、きっとそばにはいてくれる。
けれどそれは形だけで・・・心はもう、離れてしまうに違いない。
俺のことを必要としてくれることなんて、もうないだろう。
「・・・・はぁ」
俺はため息をついて立ち上がった。
きっと他人から見たら、じゃあ付き合えばいいじゃん、とかそんな一言で済ませられるくらいの簡単な問題なんだろう、これは。
俺だって自分でも自分が面倒な奴だって思っている。
それでも・・・簡単に忘れてしまえるほど、あの過去は俺にとって軽くない。
俺は冷蔵庫から飲み物を取り出し、乾いて張り付く喉に流し込んだ。
「・・・・・」
そのまま台所に立ち尽くして考え事をしていると、突然玄関で物音がした。
「・・・・?」
あかりちゃんか、きょーちゃんか・・・?
あかりちゃんはきょーちゃんが送って帰らせただろうから、もしかしたらきょーちゃんが無事に送り届けた旨を報告しに来たのかもしれない。
きょーちゃんはそういうとこ律儀だから。
俺が玄関のほうへ向かおうとした矢先、リビングの扉があいた。
「えっ」
さすがのきょーちゃんにも合鍵は渡していない。
冷や汗をかきつつ、扉にばっと顔をむけると―――――。
「・・・なんだ、まだ寝てないのか」
「え・・・・」
叔父の姿があった。
話すのはいつぶりだろう。
たぶん、三か月は確実に話していない。だって三か月前にイタリアに出張に行ったから。
ただ日本にいたとしても会話しない日が続くことはよくあることなので・・・もう四、五か月は話していないかもしれない。
「・・・・か」
緊張して、さっき飲み物を飲んだばかりなのに、口が乾燥した。
「・・・海外出張、行ってたんじゃ・・・」
「一昨日帰ってきた。言ってなかったか?」
叔父は淡々とそう答え、ネクタイを外す。
「・・・き、聞いてないし・・・」
「そうか。すまんかった。お土産、会社に置いてあるから、明日机の上に置いておくぞ」
「・・・うん」
「じゃあ風呂入ってくる」
「・・・うん」
叔父はそれだけ言って、部屋を出て行った。
「・・・・はぁっ・・・・」
たった数分話しただけなのに、ものすごく緊張した。
ほんの数分前まではここは俺の家だったけど、突然俺がお邪魔している身だってことが身に染みて感じられる。
これだからあんまり叔父とは顔を合わせたくない。
もともと親戚付き合いが深い我が家でも、叔父とはそこまで親しくなかった。
それなのに同じ部屋で二人きりとか・・・さすがに息が詰まる。
(ま、あんなのでも小学生の俺にとってはどうにか擦り寄りたい相手だったんだけどね)
自嘲ぎみにそう心の中でつぶやく。
あのときは叔父に捨てられたら終わりだと思っていたから必死だった。
まあ今になってみればそこまでではない。
叔父は基本無感情だから、たぶん俺がなにしようと淡々とお金だけ払って終わりだろう。捨てるも何も、金だけは出すから好きにしろ、っていうスタンスだし。
百歩譲って捨てられたとしても、一応親からの遺産がある程度は残してもらえているし、身寄りがなければ給付型の奨学金ももらえる可能性が高い。
もちろん金銭的な支援をしてもらえるだけありがたいし、ここまで生きてこれた分の感謝は当然あるけれども。
「・・・・今日からしばらく日本かな・・・」
顔を合わせることは少ないかもしれないけど・・・やっぱり一つ屋根の下に気を許せない誰かがいる状況っていうのは息が詰まる。
「・・・寝よ」
俺は叔父が風呂から上がる前に、自分の部屋に逃げ込んだ。
俺は扉を閉めた瞬間、床に崩れ落ちた。
「・・・ははっ・・・・」
自嘲気味な、乾いた笑いがこみ上げる。
正直に言うなら、あかりちゃんからの告白は心底うれしかった。
あかりちゃんが俺を好いていてくれることに、喜びこそすれ、嫌悪感なんて抱くはずもない。
あかりちゃんは俺のことを好いてくれていて・・・・必要としてくれている。
(・・・だた・・・もしこの告白を断れば・・・)
きっとあかりちゃんは離れて行ってしまう。
もちろん、友達でいたいって言えば、きっとそばにはいてくれる。
けれどそれは形だけで・・・心はもう、離れてしまうに違いない。
俺のことを必要としてくれることなんて、もうないだろう。
「・・・・はぁ」
俺はため息をついて立ち上がった。
きっと他人から見たら、じゃあ付き合えばいいじゃん、とかそんな一言で済ませられるくらいの簡単な問題なんだろう、これは。
俺だって自分でも自分が面倒な奴だって思っている。
それでも・・・簡単に忘れてしまえるほど、あの過去は俺にとって軽くない。
俺は冷蔵庫から飲み物を取り出し、乾いて張り付く喉に流し込んだ。
「・・・・・」
そのまま台所に立ち尽くして考え事をしていると、突然玄関で物音がした。
「・・・・?」
あかりちゃんか、きょーちゃんか・・・?
あかりちゃんはきょーちゃんが送って帰らせただろうから、もしかしたらきょーちゃんが無事に送り届けた旨を報告しに来たのかもしれない。
きょーちゃんはそういうとこ律儀だから。
俺が玄関のほうへ向かおうとした矢先、リビングの扉があいた。
「えっ」
さすがのきょーちゃんにも合鍵は渡していない。
冷や汗をかきつつ、扉にばっと顔をむけると―――――。
「・・・なんだ、まだ寝てないのか」
「え・・・・」
叔父の姿があった。
話すのはいつぶりだろう。
たぶん、三か月は確実に話していない。だって三か月前にイタリアに出張に行ったから。
ただ日本にいたとしても会話しない日が続くことはよくあることなので・・・もう四、五か月は話していないかもしれない。
「・・・・か」
緊張して、さっき飲み物を飲んだばかりなのに、口が乾燥した。
「・・・海外出張、行ってたんじゃ・・・」
「一昨日帰ってきた。言ってなかったか?」
叔父は淡々とそう答え、ネクタイを外す。
「・・・き、聞いてないし・・・」
「そうか。すまんかった。お土産、会社に置いてあるから、明日机の上に置いておくぞ」
「・・・うん」
「じゃあ風呂入ってくる」
「・・・うん」
叔父はそれだけ言って、部屋を出て行った。
「・・・・はぁっ・・・・」
たった数分話しただけなのに、ものすごく緊張した。
ほんの数分前まではここは俺の家だったけど、突然俺がお邪魔している身だってことが身に染みて感じられる。
これだからあんまり叔父とは顔を合わせたくない。
もともと親戚付き合いが深い我が家でも、叔父とはそこまで親しくなかった。
それなのに同じ部屋で二人きりとか・・・さすがに息が詰まる。
(ま、あんなのでも小学生の俺にとってはどうにか擦り寄りたい相手だったんだけどね)
自嘲ぎみにそう心の中でつぶやく。
あのときは叔父に捨てられたら終わりだと思っていたから必死だった。
まあ今になってみればそこまでではない。
叔父は基本無感情だから、たぶん俺がなにしようと淡々とお金だけ払って終わりだろう。捨てるも何も、金だけは出すから好きにしろ、っていうスタンスだし。
百歩譲って捨てられたとしても、一応親からの遺産がある程度は残してもらえているし、身寄りがなければ給付型の奨学金ももらえる可能性が高い。
もちろん金銭的な支援をしてもらえるだけありがたいし、ここまで生きてこれた分の感謝は当然あるけれども。
「・・・・今日からしばらく日本かな・・・」
顔を合わせることは少ないかもしれないけど・・・やっぱり一つ屋根の下に気を許せない誰かがいる状況っていうのは息が詰まる。
「・・・寝よ」
俺は叔父が風呂から上がる前に、自分の部屋に逃げ込んだ。

