その日から、帰宅部を主とする子たちが集まってくれて、着実に作業が進んでいた。
けど二日ほどたったある日。
その日は、瀬名くんは係の方で集まりがあるらしく、作業には参加できないようだった。
「えっ、今日瀬名いないの?」
毎日みたいに作業に来ていた鈴木 桜さんがそう言ってきた。
それを皮切りに、鈴木さんと仲がいい子たちも不満そうな顔をする。
ここで、音央ちゃんがみんな瀬名くん目当てでここに来ていると言っていたことを思い出す。
(もしかしてあのときこれを心配してた・・・のかな・・・)
けど今になってそんなことを思っていてもどうしようもない。
とにかくただでさえ瀬名くんがいなくて仕切る人がいない今、どうにかしなければ・・・。
「とっ、とりあえず今日する作業なんだけど・・・・!!」
「あ、ちなみに瀬名って今日ずっと係の方行ってるの?」
「え・・・、あ、えっと・・・、今日はたぶんこっちには顔出さないって話だったよ・・・・」
「まじ?えー、やる気おこんない」
面と向かってやる気が起こらないと言われるともう何を言っていいかわからなくなる。
何かを言わなきゃ、と焦るけど、何を言えばまとまってくれるのかわからず、お手上げ状態。
すると教室の扉ががらっと開いた。
「あかりー、今日涼我いないってまじー?」
音央ちゃんだ。
「あ、う、うんっ・・・・そう、みたい・・・・」
「・・・・」
私の歯切れの悪い返事と、私の前に立つ女の子たちを見て察したのか、音央ちゃんが助け舟を出してくれた。
「じゃあさっ!今日がんばって涼我にほめてもらお!!ね、あかり!」
「えっ!?わ、私はいいよ・・・」
「いやいやがんばったからにはご褒美もらわなきゃ!!っていうか昨日の作業めちゃくちゃ中途半端なとこで終わらせてたじゃん?ほんと融通きかないよねぇ、うちの担任!もう早く続きしたくてうずうずしてたからさ、早くやろ!!」
「!!ほ、ほんと!?私もそう思ってたの!!ちょっとずつみんなで完成させていく感じが面白くて・・・・早く明日にならないかなぁって・・・・!」
音央ちゃんは言うが早いか腕まくりをして絵具をしぼりだす。
「鈴木さんたちもやらない?わ、私でできるご褒美ならなんでもあげるし・・・!」
「いや九鬼さんからは別にご褒美はいらないけど・・・・」
あっさりそう言われてショックを受けかけたのも束の間、鈴木さんたちも腕まくりを始めた。
「まあでも、中途半端できもいっていう気持ちはわかんなくもないし、手伝う」
「あっ・・・!ありがとう!!」
「いやクラスの一員なんだから別にお礼言われる筋合いないし・・・・」
若干照れたように言う鈴木さんを見て、音央ちゃんがにやっとした。
「うわ、桜ってツンデレだったんだー。かわいー」
「ツ、ツンデレって何、漫画の見すぎでしょ・・・」
「あははっ照れてる照れてる」
みんな思い思いに話しながら作業を進める。
みんなで協力して、完成させていく感じ。
すごく面白くて、すごく、楽しい・・・!!
「何笑ってんの九鬼さん・・・むしろ笑顔死ぬとこでしょ今・・・・」
絶望的なほどの面積にむらなく絵の具を塗っている最中だったので、鈴木さんにいぶかしんだ目で見られた。
「あ・・・、なんか、文化祭って感じだなぁって・・・」
「そう?普通じゃん。中学とかもこんなんだったし」
「あはは・・・普通かぁ・・・・」
あっさり一蹴されて苦笑いする私に、鈴木さんは続ける。
「まあでも、中学のときもまじめにやってなかったし、今年も瀬名がいるからって軽い気持ちで参加しだしたけど・・・、やりだしたら面白い・・・かも」
「!!そうだよね!」
「ちょ、ちょっとね・・・・。今思えば中学の時もちゃんと参加してればよかったなって思う」
「私の中学の文化祭はすっごく小さな規模だったから、私も文化祭の楽しさ、今年学んだ。同じだね」
「あっそう・・・・」
少し照れている鈴木さんを見て、思わず言葉を続ける。
「似たもの同士、最高の文化祭にしようね!」
「す、すればいいじゃん・・・・勝手に・・・」
たぶんツンデレってこういうことを言うんだろうな、って思ったら笑ってしまった。
文化祭がなければ、瀬名くんがいなければ、こういう瞬間はきっと、なかった。
文化祭まで、あと16日!!
けど二日ほどたったある日。
その日は、瀬名くんは係の方で集まりがあるらしく、作業には参加できないようだった。
「えっ、今日瀬名いないの?」
毎日みたいに作業に来ていた鈴木 桜さんがそう言ってきた。
それを皮切りに、鈴木さんと仲がいい子たちも不満そうな顔をする。
ここで、音央ちゃんがみんな瀬名くん目当てでここに来ていると言っていたことを思い出す。
(もしかしてあのときこれを心配してた・・・のかな・・・)
けど今になってそんなことを思っていてもどうしようもない。
とにかくただでさえ瀬名くんがいなくて仕切る人がいない今、どうにかしなければ・・・。
「とっ、とりあえず今日する作業なんだけど・・・・!!」
「あ、ちなみに瀬名って今日ずっと係の方行ってるの?」
「え・・・、あ、えっと・・・、今日はたぶんこっちには顔出さないって話だったよ・・・・」
「まじ?えー、やる気おこんない」
面と向かってやる気が起こらないと言われるともう何を言っていいかわからなくなる。
何かを言わなきゃ、と焦るけど、何を言えばまとまってくれるのかわからず、お手上げ状態。
すると教室の扉ががらっと開いた。
「あかりー、今日涼我いないってまじー?」
音央ちゃんだ。
「あ、う、うんっ・・・・そう、みたい・・・・」
「・・・・」
私の歯切れの悪い返事と、私の前に立つ女の子たちを見て察したのか、音央ちゃんが助け舟を出してくれた。
「じゃあさっ!今日がんばって涼我にほめてもらお!!ね、あかり!」
「えっ!?わ、私はいいよ・・・」
「いやいやがんばったからにはご褒美もらわなきゃ!!っていうか昨日の作業めちゃくちゃ中途半端なとこで終わらせてたじゃん?ほんと融通きかないよねぇ、うちの担任!もう早く続きしたくてうずうずしてたからさ、早くやろ!!」
「!!ほ、ほんと!?私もそう思ってたの!!ちょっとずつみんなで完成させていく感じが面白くて・・・・早く明日にならないかなぁって・・・・!」
音央ちゃんは言うが早いか腕まくりをして絵具をしぼりだす。
「鈴木さんたちもやらない?わ、私でできるご褒美ならなんでもあげるし・・・!」
「いや九鬼さんからは別にご褒美はいらないけど・・・・」
あっさりそう言われてショックを受けかけたのも束の間、鈴木さんたちも腕まくりを始めた。
「まあでも、中途半端できもいっていう気持ちはわかんなくもないし、手伝う」
「あっ・・・!ありがとう!!」
「いやクラスの一員なんだから別にお礼言われる筋合いないし・・・・」
若干照れたように言う鈴木さんを見て、音央ちゃんがにやっとした。
「うわ、桜ってツンデレだったんだー。かわいー」
「ツ、ツンデレって何、漫画の見すぎでしょ・・・」
「あははっ照れてる照れてる」
みんな思い思いに話しながら作業を進める。
みんなで協力して、完成させていく感じ。
すごく面白くて、すごく、楽しい・・・!!
「何笑ってんの九鬼さん・・・むしろ笑顔死ぬとこでしょ今・・・・」
絶望的なほどの面積にむらなく絵の具を塗っている最中だったので、鈴木さんにいぶかしんだ目で見られた。
「あ・・・、なんか、文化祭って感じだなぁって・・・」
「そう?普通じゃん。中学とかもこんなんだったし」
「あはは・・・普通かぁ・・・・」
あっさり一蹴されて苦笑いする私に、鈴木さんは続ける。
「まあでも、中学のときもまじめにやってなかったし、今年も瀬名がいるからって軽い気持ちで参加しだしたけど・・・、やりだしたら面白い・・・かも」
「!!そうだよね!」
「ちょ、ちょっとね・・・・。今思えば中学の時もちゃんと参加してればよかったなって思う」
「私の中学の文化祭はすっごく小さな規模だったから、私も文化祭の楽しさ、今年学んだ。同じだね」
「あっそう・・・・」
少し照れている鈴木さんを見て、思わず言葉を続ける。
「似たもの同士、最高の文化祭にしようね!」
「す、すればいいじゃん・・・・勝手に・・・」
たぶんツンデレってこういうことを言うんだろうな、って思ったら笑ってしまった。
文化祭がなければ、瀬名くんがいなければ、こういう瞬間はきっと、なかった。
文化祭まで、あと16日!!