「―――――待たせたな」
週末、私の前にヒーローみたいに颯爽と現れたチカさん。
黒を基調としたスキニーコーデは、チカさんのスラッと長い手足と相まってほれぼれするほど綺麗。
まるで、モデルみたい。
「いえっ!私も来たばかりですので・・・・!」
「そうか?じゃああまり時間をとらせるのもなんだし、さっそく行こうか」
「はい」
隣を歩くチカさんはみんなの視線を集める。
かっこいい女性を目で追いたくなってしまう気持ち、なんだかわかる。
「チ、チカさんって・・・・ほんとにかっこいいですよね・・・・」
「ん、そうか?それはうれしいな」
チカさんは本当に満更でもなさげな表情をした。
「凜としててすごく憧れちゃいます・・・・」
「ふふ、お・・・・私も九鬼さんみたいな女性、素敵だと思うぞ」
「ほ、ほんとですか・・・!?」
「うん、なんていうか、儚げだ」
儚げ。
あまり自分では意識したことはないけど、吸血鬼特有の色白さや人に深入りしないよう徹しているところがそう感じさせるんだろうか。
「・・・・えっと、突然だがちょっと一つ確認しておきたいことがあって」
意を決したように話し始めるチカさん。
話始めるタイミングをうかがっていたのかもしれない。
「瀬名 涼我に誕生日プレゼントを買いに行くって話だっただろ?」
「はい」
「君は買うのか?彼に・・・・」
そこまで改まって聞くことかとも思ったけど、なぜかチカさんは妙に緊張しているようだった。
(こんなに緊張するって・・・・え、もしかしてチカさんって瀬名くんのことが好きなのかな・・・!?そ、それで私から瀬名くんにプレゼントしてほしくない、みたいな・・・・?)
一人で勝手に考察を繰り広げているところに、チカさんが答えを催促してきた。
「ど、どうなんだ?」
「えー・・・・っと・・・」
迷った末、考えてもしょうがないのでそのまま伝えることにした。
「ま、まあせっかくチカさんから瀬名くんの誕生日プレゼントを買うために誘っていただいたわけですし、私も買おうとは思ってました。・・・けど!チカさんがやめてっていうならしないです!!」
「いや言わない!!」
「・・・・ん?」
言わない・・・らしい。
つまり瀬名くんにプレゼントしてもいいってことだ。
「い、いいんですか・・・?」
「もちろんだ!むしろ・・・・!!あ、いや、なんでもない」
なんかことごとくよくわからない人だ。
「わ、私から瀬名くんにプレゼントしてほしくなくて聞いたんじゃないんですか?」
「え?なんでそう思うんだ?」
「いやなんか緊張した感じで聞いてきてたし・・・・。だからもしかして瀬名くんのこと好きなのかなって・・・」
「あー、なるほ・・・・・は?」
チカさんは一瞬私の方を見たかと思うと、ぶはっと盛大にふきだした。
「あいつのことを好き!?あはははっ!!ない!!なさすぎる!!・・・・あ、でもそっか、九鬼さんの中のお・・・・私は・・・・、うん、そうだもんな」
一人で笑い出したり、急に納得したり・・・ますますわけがわからない。
心の中で首をかしげていると、ショッピングセンターに到着する。
「さ、まず何を買うか、だいたいのあたりをつけておこうか」
「うーん・・・・瀬名くんが何が欲しいか・・・・」
最近の月曜日は、吸血が終わった後も話すことが多い。
だから少しづつ瀬名くんのことも分かってきた。
瀬名くんはいろんな人と仲がいいからか、すごく多趣味。
何をあげてもそれなりに喜んでくれそうな気がする。
「映画好きって言ってたし・・・・ゲームもするって言ってたし・・・・、音楽は聞くのも好きだしギターも練習してるって話だし・・・・」
考えるほど何をあげればいいのかわからなくなってくる。
「じゃあ特別にひとついいことを教えてあげよう。あいつは今キャンプにはまっているんだ。特に一人キャンプな、だから友達にすら言ってないんだが。そういう関連のものをあげるっていうのはどうだ?」
「へ~、お詳しいんですね、瀬名くんに」
妙なひっかかりがあってももうなにも追求しないことにした。
友達にすらいってないことを知っているっていったいどんな関係性なんだ、とか。
それに私からプレゼントさせることにいったい何の意味があるんだ、とかそういうの。
「あ、でもチカさんも瀬名くんにプレゼント買うんですよね?せっかくだからチカさんがそれを贈ってあげたらどうです?」
「あー・・・、そう・・・、だな・・・・」
でもそうなると私は何を贈ればいいんだろう。
なぜかまたチカさんまでいっしょになって悩みだす。
「そうだ、じゃあアクセサリーは?あいつアクセサリーとかよくつけるし、いっぱいあっても困らないとおもうが」
「でもアクセサリーって好みじゃなかったときが・・・・、それになんか・・・・」
「それに?」
「・・・・アクセサリー贈るってなんか・・・・独占欲強そう」
「あははっ、それはなんかわかるぞ」
だけどチカさんはアクセサリーっていう意見をあきらめきれないらしく、私に激押ししてきた。
「だがだからこそいいと思うぞ。むしろ君から必要と・・・・・いやなんでもない。とにかくアクセサリーがいいと思う。あいつは結構なんでも好き嫌いないタイプだから、相当センスが悪くない限り、贈っても使わないってことはないだろうし」
「そう・・・ですかね・・・、まあチカさんがそこまで言うなら・・・・」
「じゃあそうしよう。えっとアクセサリーの店は・・・・」
「え、私のプレゼントを先に見るんですか?」
「あ・・・・、そうか、今日はお・・私のプレゼント選びが目的だったな・・・・。じゃあ先にキャンプ用品を見に行こう」
そういうわけでキャンプ用品を見に行ったのだが。
チカさんは店に入るなり早々に、並んでいた超コンパクトタイプの寝袋を手に取る。
「これでいいだろ」
「えっ早っ!!そ、そんなに適当でいいんですか・・・!?」
「ま、別にいいんだろ。もらえるだけ感謝してもらいたいくらいだ。前回のお・・・私の誕生日なんてすっぽかされたんだからな」
そう言ってとっとと会計を済ませてしまうチカさん。
「じゃあアクセサリー見に行くか」
「はあ・・・」
やる気満々なチカさんの後に続いてアクセサリーの店に行く。
アクセサリーって言っても当然種類はいろいろだ。
指輪、ネックレス、ブレスレット、ピアス、イヤリング・・・・。
(ただ指輪は重いからちょっと・・・・、ピアスは髪で隠してるけどたぶん瀬名くんは開けてるっぽかった。ただピアス穴開けるのは一応校則違反だからなぁ・・・・堂々とは贈りづらいよね。ピアス穴開けてるのにイヤリング贈るって言うのもなんか変な気がするし・・・)
そうなると、ブレスレットかネックレスあたりが妥当か。
何度考えてもアクセサリーって重めなプレゼントに思えるけど、今更迷っても仕方がない。
「何を贈るんだ?」
「うーん・・・、ブレスレットかネックレスって思ってますけど・・・」
どっちがいいだろう。
ブレスレットをつけてる瀬名くんを想像すれば・・・・うん、絶対に似合う。
ネックレスをつけてる瀬名くんを想像しても・・・うん、やっぱり似合う。
ただネックレスをつけている瀬名くんを想像すれば、おのずと浮かんでくるシーンがある。
彼の首筋に咬みつくあの瞬間が。
「・・・・ネックレスにしようかな」
「ネックレスにするか?だったらこの辺のコーナーだな」
チカさんと相談しながら、悩んだ末にシンプルなシルバーで細長いチャームが付いたシンプルなデザインのものにした。
「うん、無事買えたな」
「そうですね」
ラッピングを待ちながらのんびり店内を見て回る。
「ちなみに九鬼さんと瀬名 涼我は最近どうなんだ?」
「どう・・・とは・・・・?」
「んー、まあ仲よくしてるのかとか」
「仲・・・・は、どうなんでしょう、少しづつ距離が縮んでいるような気もしますけど・・・、あ、そういえば」
気のせいかもしれないが、夏休み明けに感じたことを話してみよう。
「なんか夏休み明けくらいから、瀬名くんの笑顔が・・・なんていうんだろう、柔らかい?感じがするんですよね・・・・。気のせいかもしれないですけど、距離が縮まってる証拠なのかなって思って勝手にうれしく思ってて」
「そうか、それはいいことだ。九鬼さんはどう思ってるんだ?瀬名 涼我のこと」
「わ、私ですか?」
瀬名くんをどう思っているか。
言われてみるとどう思っているんだろう。
普通に友達と言っていいのだろうか。でも吸血のこととかを考えるとただの友達とは言えない。
考え込む私の答えを、急かすことなく待ってくれるチカさん。
「・・・・よく、わかんないんです」
「何がだ?」
「私、今までまともに友達いなくて。幼馴染みたいな関係性の親戚はいるんですけど。だからなんか・・・・私にとって瀬名くんは友達でしかないというか・・・。たくさん友達がいる人とは違って、私には瀬名くんしか友達がいないから、瀬名くんが他の友達と比べてどう、とかそういうのがわからなくて・・・」
「・・・・そうか」
「ただ、瀬名くんしか友達がいないからこそ、私の中ではどこからどうみても一番の友達です。それは間違いないです」
私の答えを聞いて満足そうにうなずくチカさん。
「ん、じゃあその言葉、瀬名 涼我にも伝えてあげてくれ。きっと喜ぶから」
そう言ってにっこりと笑った。
「・・・・ていうか結局チカさんはどうなんですか、瀬名くんとの関係」
「んー、それは秘密だな」
「なんでですか!私にはこんなに話させたのに・・・!!」
「あ、ラッピング終わったみたいだ」
「ちょっ・・・!しらばっくれる気ですよねーもー・・・!!」
チカさんが追いかけてくる私を見てくすくす笑う。
よくわからない人だけど、とても素敵な人だ、チカさんって。
週末、私の前にヒーローみたいに颯爽と現れたチカさん。
黒を基調としたスキニーコーデは、チカさんのスラッと長い手足と相まってほれぼれするほど綺麗。
まるで、モデルみたい。
「いえっ!私も来たばかりですので・・・・!」
「そうか?じゃああまり時間をとらせるのもなんだし、さっそく行こうか」
「はい」
隣を歩くチカさんはみんなの視線を集める。
かっこいい女性を目で追いたくなってしまう気持ち、なんだかわかる。
「チ、チカさんって・・・・ほんとにかっこいいですよね・・・・」
「ん、そうか?それはうれしいな」
チカさんは本当に満更でもなさげな表情をした。
「凜としててすごく憧れちゃいます・・・・」
「ふふ、お・・・・私も九鬼さんみたいな女性、素敵だと思うぞ」
「ほ、ほんとですか・・・!?」
「うん、なんていうか、儚げだ」
儚げ。
あまり自分では意識したことはないけど、吸血鬼特有の色白さや人に深入りしないよう徹しているところがそう感じさせるんだろうか。
「・・・・えっと、突然だがちょっと一つ確認しておきたいことがあって」
意を決したように話し始めるチカさん。
話始めるタイミングをうかがっていたのかもしれない。
「瀬名 涼我に誕生日プレゼントを買いに行くって話だっただろ?」
「はい」
「君は買うのか?彼に・・・・」
そこまで改まって聞くことかとも思ったけど、なぜかチカさんは妙に緊張しているようだった。
(こんなに緊張するって・・・・え、もしかしてチカさんって瀬名くんのことが好きなのかな・・・!?そ、それで私から瀬名くんにプレゼントしてほしくない、みたいな・・・・?)
一人で勝手に考察を繰り広げているところに、チカさんが答えを催促してきた。
「ど、どうなんだ?」
「えー・・・・っと・・・」
迷った末、考えてもしょうがないのでそのまま伝えることにした。
「ま、まあせっかくチカさんから瀬名くんの誕生日プレゼントを買うために誘っていただいたわけですし、私も買おうとは思ってました。・・・けど!チカさんがやめてっていうならしないです!!」
「いや言わない!!」
「・・・・ん?」
言わない・・・らしい。
つまり瀬名くんにプレゼントしてもいいってことだ。
「い、いいんですか・・・?」
「もちろんだ!むしろ・・・・!!あ、いや、なんでもない」
なんかことごとくよくわからない人だ。
「わ、私から瀬名くんにプレゼントしてほしくなくて聞いたんじゃないんですか?」
「え?なんでそう思うんだ?」
「いやなんか緊張した感じで聞いてきてたし・・・・。だからもしかして瀬名くんのこと好きなのかなって・・・」
「あー、なるほ・・・・・は?」
チカさんは一瞬私の方を見たかと思うと、ぶはっと盛大にふきだした。
「あいつのことを好き!?あはははっ!!ない!!なさすぎる!!・・・・あ、でもそっか、九鬼さんの中のお・・・・私は・・・・、うん、そうだもんな」
一人で笑い出したり、急に納得したり・・・ますますわけがわからない。
心の中で首をかしげていると、ショッピングセンターに到着する。
「さ、まず何を買うか、だいたいのあたりをつけておこうか」
「うーん・・・・瀬名くんが何が欲しいか・・・・」
最近の月曜日は、吸血が終わった後も話すことが多い。
だから少しづつ瀬名くんのことも分かってきた。
瀬名くんはいろんな人と仲がいいからか、すごく多趣味。
何をあげてもそれなりに喜んでくれそうな気がする。
「映画好きって言ってたし・・・・ゲームもするって言ってたし・・・・、音楽は聞くのも好きだしギターも練習してるって話だし・・・・」
考えるほど何をあげればいいのかわからなくなってくる。
「じゃあ特別にひとついいことを教えてあげよう。あいつは今キャンプにはまっているんだ。特に一人キャンプな、だから友達にすら言ってないんだが。そういう関連のものをあげるっていうのはどうだ?」
「へ~、お詳しいんですね、瀬名くんに」
妙なひっかかりがあってももうなにも追求しないことにした。
友達にすらいってないことを知っているっていったいどんな関係性なんだ、とか。
それに私からプレゼントさせることにいったい何の意味があるんだ、とかそういうの。
「あ、でもチカさんも瀬名くんにプレゼント買うんですよね?せっかくだからチカさんがそれを贈ってあげたらどうです?」
「あー・・・、そう・・・、だな・・・・」
でもそうなると私は何を贈ればいいんだろう。
なぜかまたチカさんまでいっしょになって悩みだす。
「そうだ、じゃあアクセサリーは?あいつアクセサリーとかよくつけるし、いっぱいあっても困らないとおもうが」
「でもアクセサリーって好みじゃなかったときが・・・・、それになんか・・・・」
「それに?」
「・・・・アクセサリー贈るってなんか・・・・独占欲強そう」
「あははっ、それはなんかわかるぞ」
だけどチカさんはアクセサリーっていう意見をあきらめきれないらしく、私に激押ししてきた。
「だがだからこそいいと思うぞ。むしろ君から必要と・・・・・いやなんでもない。とにかくアクセサリーがいいと思う。あいつは結構なんでも好き嫌いないタイプだから、相当センスが悪くない限り、贈っても使わないってことはないだろうし」
「そう・・・ですかね・・・、まあチカさんがそこまで言うなら・・・・」
「じゃあそうしよう。えっとアクセサリーの店は・・・・」
「え、私のプレゼントを先に見るんですか?」
「あ・・・・、そうか、今日はお・・私のプレゼント選びが目的だったな・・・・。じゃあ先にキャンプ用品を見に行こう」
そういうわけでキャンプ用品を見に行ったのだが。
チカさんは店に入るなり早々に、並んでいた超コンパクトタイプの寝袋を手に取る。
「これでいいだろ」
「えっ早っ!!そ、そんなに適当でいいんですか・・・!?」
「ま、別にいいんだろ。もらえるだけ感謝してもらいたいくらいだ。前回のお・・・私の誕生日なんてすっぽかされたんだからな」
そう言ってとっとと会計を済ませてしまうチカさん。
「じゃあアクセサリー見に行くか」
「はあ・・・」
やる気満々なチカさんの後に続いてアクセサリーの店に行く。
アクセサリーって言っても当然種類はいろいろだ。
指輪、ネックレス、ブレスレット、ピアス、イヤリング・・・・。
(ただ指輪は重いからちょっと・・・・、ピアスは髪で隠してるけどたぶん瀬名くんは開けてるっぽかった。ただピアス穴開けるのは一応校則違反だからなぁ・・・・堂々とは贈りづらいよね。ピアス穴開けてるのにイヤリング贈るって言うのもなんか変な気がするし・・・)
そうなると、ブレスレットかネックレスあたりが妥当か。
何度考えてもアクセサリーって重めなプレゼントに思えるけど、今更迷っても仕方がない。
「何を贈るんだ?」
「うーん・・・、ブレスレットかネックレスって思ってますけど・・・」
どっちがいいだろう。
ブレスレットをつけてる瀬名くんを想像すれば・・・・うん、絶対に似合う。
ネックレスをつけてる瀬名くんを想像しても・・・うん、やっぱり似合う。
ただネックレスをつけている瀬名くんを想像すれば、おのずと浮かんでくるシーンがある。
彼の首筋に咬みつくあの瞬間が。
「・・・・ネックレスにしようかな」
「ネックレスにするか?だったらこの辺のコーナーだな」
チカさんと相談しながら、悩んだ末にシンプルなシルバーで細長いチャームが付いたシンプルなデザインのものにした。
「うん、無事買えたな」
「そうですね」
ラッピングを待ちながらのんびり店内を見て回る。
「ちなみに九鬼さんと瀬名 涼我は最近どうなんだ?」
「どう・・・とは・・・・?」
「んー、まあ仲よくしてるのかとか」
「仲・・・・は、どうなんでしょう、少しづつ距離が縮んでいるような気もしますけど・・・、あ、そういえば」
気のせいかもしれないが、夏休み明けに感じたことを話してみよう。
「なんか夏休み明けくらいから、瀬名くんの笑顔が・・・なんていうんだろう、柔らかい?感じがするんですよね・・・・。気のせいかもしれないですけど、距離が縮まってる証拠なのかなって思って勝手にうれしく思ってて」
「そうか、それはいいことだ。九鬼さんはどう思ってるんだ?瀬名 涼我のこと」
「わ、私ですか?」
瀬名くんをどう思っているか。
言われてみるとどう思っているんだろう。
普通に友達と言っていいのだろうか。でも吸血のこととかを考えるとただの友達とは言えない。
考え込む私の答えを、急かすことなく待ってくれるチカさん。
「・・・・よく、わかんないんです」
「何がだ?」
「私、今までまともに友達いなくて。幼馴染みたいな関係性の親戚はいるんですけど。だからなんか・・・・私にとって瀬名くんは友達でしかないというか・・・。たくさん友達がいる人とは違って、私には瀬名くんしか友達がいないから、瀬名くんが他の友達と比べてどう、とかそういうのがわからなくて・・・」
「・・・・そうか」
「ただ、瀬名くんしか友達がいないからこそ、私の中ではどこからどうみても一番の友達です。それは間違いないです」
私の答えを聞いて満足そうにうなずくチカさん。
「ん、じゃあその言葉、瀬名 涼我にも伝えてあげてくれ。きっと喜ぶから」
そう言ってにっこりと笑った。
「・・・・ていうか結局チカさんはどうなんですか、瀬名くんとの関係」
「んー、それは秘密だな」
「なんでですか!私にはこんなに話させたのに・・・!!」
「あ、ラッピング終わったみたいだ」
「ちょっ・・・!しらばっくれる気ですよねーもー・・・!!」
チカさんが追いかけてくる私を見てくすくす笑う。
よくわからない人だけど、とても素敵な人だ、チカさんって。