「百ー合!お弁当一緒に食べよ!」

「うん。食べよっか。」

あの出来事を境に私たちは急激に仲良くなった。

天野さんがどうして私と仲良くしてくれているのかは分からない。

でも今はそんなことは気にしないことにした。

きっと天野さんは病気のことを知られたから仲良くしてくれている。

その事実を認めたくなかったから。

「うわー!百合のお弁当美味しそー!」

「ありがと。天野さんのお弁当も美味しそうだよ。」

グサッ

「隙あり!卵焼きいただきましたぞ!」

「ちょっと〜笑やめてよね笑」

ぱっちりな二重。

少し茶色がかった瞳。

カールを描くように生えている睫毛。

陶器のように真っ白な肌。

スっと筋の通った鼻。

ピンク色のふっくらした唇。

肩に着くくらいで艶を帯びているふわっとしたな茶髪。

容姿の全てが私とはかけはなれている。

それが天野ういはなんだ。

「いいな。」

「何が?」

しまった。つい口に出してしまった。

「ううん。何でもない。」

「えー!気になるよぉ!」

「ほんとに何でもないから。」

「そう?ならいいんだけど。」

「ありがとうね。私と仲良くしてくれて。」

「?私はお礼言われるようなことしてないよ?」

「私が百合と仲良くしたいからしてるの。それだけ。」

性格まで良いとか。

どこまで完璧なの。

唇を噛み締めて苦笑いをする。

今の私はきっと不自然な笑みを浮かべていただろう。


キーンコーンカーンコーン────


「あ!授業始まっちゃう!もう戻るね!」

「うん。」




「えー、であるからして────」

昼食後すぐの授業だったせいか、半分くらいの生徒は机に突っ伏していた。

他の生徒もうとうとしていたり、頬杖を着いてぼーっとしていたり、真面目に受けている生徒は少なかっただろう。

私も気がつくと眠りに落ちていたらしい。