「私、小学生の時にお母さんを亡くしてるの。

女手一つで私を育ててくれたお母さん。本当に大好きだった。

だから、いなくなっちゃったときはずーっと泣いてたよ。

それからはね、大切な人を失うのが怖くなった。

手放すのが怖い。

離れられるのが怖い。って

思うようになったの。

だからずっと演じてきた。

みんなから好かれる私‪を。」

「そうだったんだね…」

「じゃあ、今は1人で暮らしてるの?」

「うん。中学生まではおばあちゃん家にいたけど、高校からは1人で暮らしてる。」

「演じなくたっていいのに。ありのままのういはの方が可愛いよ。」

「嬉しいこと言ってくれるねぇ百合は。」

「でも、演じることを辞めるつもりはないよ。」

「もう慣れちゃったし!素の自分を見せれるのは、百合くらいしかいないや。」

「それにね、、やっぱり何でもない!」

「え!なに気になるんだけどー!?」

「言ーわない!」

うん、やっぱり君には笑顔が一番似合ってる。

静まり返った病室で、私達の笑い声だけが響いていた。