次の休み、パパの再婚相手の真智(まち)さんと顔合わせをする予定の日だ。
 話はトントン拍子に進んで、近々、私の家に真智さん家族が引っ越してくることになっている。今日はそのための顔合わせだ。

 私は久しぶりに家の外に出ていた。場所はおしゃれなレストラン。顔合わせだからと、きれいめなオフショルダーのカットソーにスカートを着てきたんだ。ネットで注文した服は可愛かったけれど、私の心はモヤモヤでいっぱいだった。

(大丈夫かな……。もし誰かに変とか言われたらどうしよう。なるべく目立たないようにしないと)

 レストランは壁で仕切らている半個室を準備してくれていたみたい。でも私はいつものように前髪と伊達メガネで顔を隠して、人の目を避けるように俯いている。
 小学生低学年の頃、同じクラスの女の子に「ブス」「かわいくない」って言われてから私は人前に出られなくなった。

(でもネットで顔を出すのは平気なんだよね。不思議……)

 ガチガチに固まっている私を、パパが心配そうな顔で見ている。

「柚里葉、大丈夫か? 家に来てもらった方がよかったんじゃないか?」
「うん、区切られてる部屋だし大丈夫……。それに顔合わせっていったらレストランでしょう?」
「そうか……。すこし道路が混んでいて遅れるらしいから、もう少し待っていよう」

 大人ぶってみたけれど、本音は家の中に知らない人が入ってくるのに少し抵抗があっただけ。

(うちに真智さんたちが引っ越してくるのは確定したんだよね。新しい家族になるかもしれないけど、心の準備だって必要でしょ)

 私は心の中で言い訳をした。