階段を踏み外した私の耳にとびこんだのは、思わず私が助けを呼んだあの人の声。

「あ、蒼くん……?」

 私は自分を抱える蒼くんのことを、信じられない思いで見上げた。

(どうして? 今日は仕事があるんじゃ……)

「はぁ、よかった。間に合った……」

 ホッとしたようにそう言った蒼くんの体は熱い。
 ドキドキ激しい心臓の音も聞こえて来る。

(蒼くん、急いできてくれたの?)

 息を切らす蒼くんは、一瞬私に視線を落としてふわっと笑った。

 そしてすぐに厳しい顔で三人の女の子たちを睨みつける。

 私を押したリーダー格の女の子は青い顔をしてガタガタ震えていた。