私が聞き逃せなかったのは、最後の一言。
 
「私の靴、あなたたちが……?」

 どうやら私のスニーカーを移動させていたのはこの子たちみたいだ。

「だから何なの? アオイと仲良くしてもらって調子に乗ってるから、少し反省しろってことなんだけど」

 そっか……と私はそこで納得がいった。

(この子たち、蒼くん……ううん、〝アオイ〟くんのファンなんだ。だから蒼くんと一緒にいる私に嫌がらせを)

「あ、あの……私、蒼くんとは……」

 私は説明しようとした。
 でもリーダー格の女の子は、私の口から「アオイ」の名前が聞こえたことに我慢ならなかったらしい。

「――うるさい! ブサイク陰キャのくせにアオイくんに近づくなよ。もう二度と塾来んな!」
「――っ!」

――ドンッ!