私は車の後部座席に並んで座りながら、真智さんに塾での出来事を話した。

「置いたはずの場所から靴が移動しているんです。それで、この前は塾の外に置かれてて……」

 私はオブラートに包んで『置かれていて』と言ったけど、本当は投げ捨てられていた感じだった。

「間違ってぶつかって、はずみで外に出ただけって思いたいけど……」

 ――でももし嫌がらせだったら。
 そう考えると、嫌がらせされてしまう自分が情けなくて……。私の背中はどんどん丸くなっていった。

(真智さんはどう思うんだろう。家族になるはずの私が、こんなみっともなくて嫌になっちゃわないかな……)