(つ、着いてしまう――! どうしよう、急に怖くなってきちゃった……)

 私の心臓はバクバク。
 膝の上で握りしめた手の中は、汗でびっしょりだった。

「柚里葉ちゃん」

 耳元で囁かれた自分の名前に、私はハッとした。
 気づけば私の手を、蒼くんの大きな手がすっぽりと覆っていた。

「安心して。俺がいるからさ」
「――っ!」

 そう言ってふわりと笑う蒼くんに見つめられ、私の顔が一気に熱くなる。

(ど、どちらにしろ心臓がもちそうにないんですけどっ!?)

 温かい手に緊張どころじゃなくなった私を、ミラー越しに真智さんが嬉しそうに見つめていた。