極めつけは真智さんのこの言葉。
「そうね。いつも私が迎えに行ってるから、帰りは心配いらないし。お試しだから嫌なら辞めればいいんじゃない?」
「ね、俺がついてるからさ」
「あ、うう……」
「巧さんにも聞いてみましょうよ。きっと喜ぶわよ」
私が話から置いてきぼりになっている間に決まってしまった。
(ちょ、ちょっとこのままじゃ塾に行くことになっちゃう! ちゃんと断らないと――)
「あ、あの私――」
「柚里葉ちゃんが来てくれると嬉しいな。俺、誰か紹介するなんて初めてだ」
蒼くんは無邪気な笑顔で言った。
(蒼くん、本当に嬉しそう……。私が行くことで、そんなに喜んでくれるの?)
心の底から嬉しそうな蒼くんに、私はそれ以上何も言えなくなっていた。
もちろん私が塾に行くという話に、パパから「NO」がでるわけでもなく、あっという間に体験授業を受けることが決まってしまった。