思わず時計を見ると、まだお昼前。
 
「蒼、くん……? 学校は? なんでここにいるの――」
「どうしてネットで元気だといけないの?」
「――っ?!」
「学校に行けない人は、元気でいたらいけないの?」

 蒼くんは私の疑問には答えてくれなかった。代わりに質問を投げかけられる。

「そ、それは……」

 私は答えられなかった。蒼くんが私に聞いているのは、〝HAL〟を始めてからずっと感じてた後ろめたさだから。

「……だってダメでしょ? みんなが出来てることが出来てない私は――」 
「学校に行けてなくても柚里葉ちゃんは柚里葉ちゃんだよ」
「私は、わたし……?」

 気がつけば私はドアの前に立っていた。すぐそばに蒼くんがいる。
 
「そう。柚里葉ちゃんはどんなことしてても、柚里葉ちゃんであることは変わりない」 
「でも……」
「柚里葉ちゃんがHALだってこと、俺は知れて嬉しいよ」
「えっ?」
 
 私は驚いた。蒼くんは私がHALだって知って、がっかりしていないの……?