「……あれ、電気ついてない」

 私より先に違和感に気づいたのは蒼くんだった。

「仕事で遅くなってるのかな」

 そんなことを言いながら蒼くんが開けてくれた玄関をくぐり、電気をつける。

 家の中は私が出かけた時のままで、二人とも帰っていないことがわかる。

「……まあいいか。お風呂準備しちゃうから、柚里葉ちゃん先に入っていいよ」

「あ、え……あ、ありがと」

(蒼くん、いつもと変わらない……。なんだか夢を見ていたみたい)