家族になる人を恋愛の意味で好きになってしまうなんて、絶対に避けたいこと。

(勘違いだよ、柚里葉。これは家族としての『好き』なんだと思う)

 恋愛なんてしたことがないから、きっと勘違いしているんだと思う。

 私は自分にそう言い聞かせていた。

 その時、スマホで真智さんと連絡を取っていた蒼くんが「あっ」と声を上げた。

「母さん、急用で来れないみたい」

「え……」

 迎えにてくれるはずの真智さんが来れなくなったみたいだ。

「二人だし、バスで帰ろ」

「う、うん……」