「はじめまして……」

 何か言わないとと思って挨拶をすると、その人は懐かしい人に会った時のように目を細めた。

「あ、ああ。初めまして。……あいつに良く似ているな」
「えっ……?」

 その人は独り言のようにぽつりとこぼすと、おもむろにポケットからメモを取り出して俺に手渡した。

「もし俳優の仕事に興味があったら連絡して」

 渡されたメモには一つの電話番号が書かれていた。

「待ってるよ、アオイくん」

 そう言うとその人はあっという間に去って行った。