「はぁぁ……」

 俺は人知れずため息をついた。

 でも考え込んでいたせいで、その人が近づいてくるのに全然気づけなかった。

「アオイくん、だね」
「――っ、は、はい!」

 急にかけられた声に驚いて、俺は思わず持っていた水をこぼしそうになった。

 振り向いた先にいたのは、一人の男性。

 背が高くて、小さい顔に整った顔立ち。

 どう見ても普通の人とは圧倒的にオーラが違う。

(どこかで会ったことがある?)

 芸能人かも、と思いながら見とれていると、その人も俺をジッと眺めていた。