わたしは昴のファンじゃない！

　お世話係の卒業とともに昴との関係も終わるものだとばかり思っていたのに、なぜかずっとつきまとわれてるし。

「もうついてこないで」っていくら言っても聞かないから、昴がそばにいても無視することにしたんだけど、そしたらわたしに認められたと思ったのか、余計そばから離れなくなっちゃったし！


　そのせいで、周囲の女子がわたしに向ける視線は、当然のようにどんどん厳しいものになっていった。

　そりゃあそうだよね。

　絶世の美女ならまだしも、わたしみたいな平凡な女子が『藤沢昴』の隣に常にいるなんて、ただの邪魔者としか認識されなくて当然だ。

　直接言われることはなくても、「なんなの、アイツ」っていう空気は常に感じていた。

『わたしが藤沢昴につきまとっているんじゃなくて、藤沢昴がわたしのそばから離れてくれないだけなんです』と本当のことを言ったところで、信じてくれる人間なんかいるわけもない。

　——わたしが南くんの熱狂的なファンだと知る親友の杏奈は別として。