あぁっ!!

 やっぱりいるって言えばよかった!

 でも、今さらそんなこと言えないし……。


「じゃあさ、代わりにこれもらって」

「へ?」

 カバンの中から出した左手のこぶしをぐいっと近づけてくる。

「手ぇ出して」

「え……」

「ほら、早く」

 昴に急かされ、両方の手のひらを上に向けると、恐る恐る昴のこぶしの下に差し出した。


 チャリンッ。


 手のひらの上に、小さなエッフェル塔のチャームのついたペンダントが転がった。

「えっ、これ……」

「お土産」

「って、やっぱりエッフェル塔?」

 わたしがクスッと笑うと、

「いらないなら返せ」

 口をとがらせ、手のひらを突き出してくる。

「返さない」

 わたしは、ペンダントを両手でそっと握りしめた。

「あっそ」

「うん。大切にするね」

「おうっ」