わたしは昴のファンじゃない!

「まあでも、先生がなにも言わないってことは、そのうち来るんじゃない?」

「そのうちっていつ!?」

「そのうちは……そのうちよ」

 杏奈が困ったように言う。

「ねえ。今度会ったら、ちゃんと言うこといいなよ? いつでも会えるなんて思ってたら、大間違いなんだからね」

 ホームルームのはじまりのチャイムと同時に担任が教室に入ってくると、杏奈はわたしの肩をぽんぽんと優しく叩いて自分の席へと戻っていった。


 その後も昴とは音信不通のまま。

 水曜が終わり、木曜が終わり、そしてまた金曜を迎えた。

 その間、わたしは気付くと昴の空っぽの机ばかり見つめていた気がする。

 そして、気付かされる。

 ぼんやりと窓の外を眺める昴の横顔を、わたしはいつも見ていたんだってことに。

 
 昴、今どこにいるの?

 ねえ、早く学校に来てよ。