わたしは昴のファンじゃない！

「どうしたの？　真っ青な顔して。大丈夫？」

　杏奈が、心配そうにわたしの顔を覗き込んできた。

「へ？　あー……うん。大丈夫だよ」

　笑顔を取り繕いながら、震える手でカバンの中から取り出した教科書を机の中に突っ込もうとして、バサバサッとこぼれ落ちた。

「もう、なにやってんのよ」と言いながら、杏奈が教科書を拾って机の中に収めてくれる。

「あのさあ、杏奈。昴の欠席理由……知らない？」

「はあ？　千夏が知らなくてあたしが知ってるわけないじゃん。そんなに心配なら直接聞いてみれば？」

「メッセージ送ってみたんだけど……いつまで経っても既読がつかないの」

　ぼそぼそと杏奈にだけ聞こえるような声で言う。

「あー、ついに受信拒否されたかー」

　杏奈が腕を組んで、うんうんとうなずいて見せる。

「えぇっ、なんで!?」