「あんたさあ、ただのファンのクセに、距離近すぎじゃない? だいたい昴くんと南くん、どっちのファンなわけ?」

 棘のある声が、わたしを問い詰める。


 ああ、これはあれだ。ウワサには聞いたことのある、校舎裏で囲まれてシメられるっていうやつにちがいない。


「そんなの、100%南くんに決まってるじゃないですか」

 わたしは、先輩たちをギンッと見返しながらそう答えた。

「ふぅん。でもさ、この前あたし、見ちゃったんだよね。南くんに駅まで送ってもらったあと、昴くんと駅のホームでキスしてるとこ。南くんに送ってもらうのもどうかと思ったけど、アレはないでしょ」

「昴とキス!? そんなことするわけないじゃないですか! 完全に見間違いです。だって、わたしと昴はただの幼馴染で……」

 あー、わたしのバカっ!

「へぇ~。幼馴染なんだぁ」

 案の定、先輩たちがジト目で見てくる。