「……で、本屋さんでなんて本買ったの?」
先にこの沈黙に耐え切れなくなったのは、わたしだった。
「うん? ああ、これ」
昴がカバンの中から取り出してわたしに見せてくれたのは——。
「『旅行で使える フランス語会話集』?」
「今度、ドラマのロケで一週間フランス行くんだけどさ。せっかくだから、向こうで買い物くらいしたいと思って」
「今から勉強したってムリでしょ!」
思わず吹き出すわたしに、
「雰囲気だよ、雰囲気。そんなこと言うやつには、土産買ってこないからな」
と、昴がむくれる。
「エッフェル塔の置物なんかいらないし」
「誰がそんなもん買ってくるって言った?」
「昴がお土産っていって思い付くのは、どうせそんなとこでしょ」
「あーもう、決定な。千夏にはぜってーエッフェル塔の置物しか買ってこねえ」
「だからいらないって言ってるでしょ!?」
ムキになってそう言うわたしを見て、昴がふっと笑う。
先にこの沈黙に耐え切れなくなったのは、わたしだった。
「うん? ああ、これ」
昴がカバンの中から取り出してわたしに見せてくれたのは——。
「『旅行で使える フランス語会話集』?」
「今度、ドラマのロケで一週間フランス行くんだけどさ。せっかくだから、向こうで買い物くらいしたいと思って」
「今から勉強したってムリでしょ!」
思わず吹き出すわたしに、
「雰囲気だよ、雰囲気。そんなこと言うやつには、土産買ってこないからな」
と、昴がむくれる。
「エッフェル塔の置物なんかいらないし」
「誰がそんなもん買ってくるって言った?」
「昴がお土産っていって思い付くのは、どうせそんなとこでしょ」
「あーもう、決定な。千夏にはぜってーエッフェル塔の置物しか買ってこねえ」
「だからいらないって言ってるでしょ!?」
ムキになってそう言うわたしを見て、昴がふっと笑う。



