ナツメ先輩に「気を付けろ」と言われた意味をようやく理解した。
「恐らく、ミュゼが言っていたうさぎみたいな奴ってあいつだろ」
　家に戻って、真相を確かめるべく白雪姫と共に、とある場所を視察しに来ている。

　家から徒歩30分以上、車で行ったらバレる可能性があるから歩いてこっそりと木々の隙間から眺めると。
　庭園で優雅にお茶を飲むアスカ侯爵令嬢。その側に立つのは侍女と…
「いた、あのウサギ男！！！」
　さっき、うちに来た時は制服を着ていたが、今はピンク色の派手な服を着ている。
　アームストロング家のカラーはピンク色みたいで。
　目がちかちかする…。
「侯爵家の騎士団になりすまして、私をハメたのかあ…。迂闊だったあ」
「気を付けろよミュゼ。女の妬みはこえーぞ」
　白雪姫は怠け者だけど、人の顔を一度見たら絶対に忘れないという能力がある。
　あの時、白雪姫が見ていたらすぐに気づいていたというのに。
　私はすっかり騙された…

「あー、何ですぐ騙されちゃうんだろ」