ハートがバキバキ鳴ってるの!

 ——おとといの部活でのこと。

「さーて、みんな! あっという間にもう再来週は文化祭! あと十三日、気合い入れて頑張ってこう!」
 モニ先輩のハイテンションな仕切りから始まる全体ミーティング。
 そう、再来週の日曜日・七月十八日は、いよいよ文化祭本番だ。

「よっしゃ! そろそろMC考えなきゃな! お客さん全員にドカンと笑ってもらえるようなやつ!」
「はいはい、それもいいけど」
 セラ先輩のガッツポーズを軽くあしらい、モニ先輩が続ける。
「肝心なのは演奏よ演奏! 一人ひとり今の課題をしっかり克服して、本番には最高のパフォーマンスができるようにしようね!」

 先週の土曜日、部室に行くとモニ先輩から大量のフィードバックを伝えられたあたし。
 当日少しでもいい演奏ができるように、一つひとつの苦手に向き合って練習している真っ最中だった。

「じゃ、三十分後に合わせるから、それまでは各自練習! で、みかるんだけちょっとベース持ってこっち来てくれる?」
「はい、なんでしょう?」

 モニ先輩に手招きされた場所まで歩くと、薄いプラスチック製の道具を渡された。
 一辺三センチくらいのおにぎり型。黒地に白いアルファベットでなにかが書かれている。両端をつまむと、少したわんだ。

「これって、ピックですよね?」
「ピンポーン!」
 ギターとかの弦を弾く時に使う道具、「ピック」。
 どうして今、あたしにこれを渡すんだろう?

「みかるん、ベースにもピック弾きがあるのは知ってるよね?」
「あ、はい」
 ギターだけでなくベースでもピック弾きができることは、教則本を見てなんとなく知ってはいた。
 だけど、最初に浅野くんに教わって以来ずっと指弾きをしていたあたしは、今までピック弾きを試してみたことはなかった。

「もしよかったらさ、『閃光夏休み』の最後のサビだけピックで演奏してくれないかな?」