「諦めきれなくて、弓野に意識してもらうためにめちゃくちゃピアノ練習したんだけど、ぜんっぜん敵わなくてさ。しかもあいつ、ピアノだけじゃなくて、ヴァイオリンとかギターとかいろんな楽器でプロ級だから、もうほんとに足下にも及ばないって感じだった」
すごいなー。
あたしなんて、ベースだけでやっとなのに。
「なんで自分はこんなに頑張ってるのに勝てないんだろう、才能の差は覆せないのかなって、どんどん変な方向に考えちゃって」
くりっとした大きな瞳の奥に、灰色の気持ちが少しだけ浮かんでいた。
いつも元気いっぱいなモニ先輩にも、そんなふうに悩むことがあったんだ……。
「だけどあるとき、ひがむのはもうやめにするって決めたんだ」
目を閉じて、すーっと息を吸い込むモニ先輩。
「弓野のやつ、謎の分厚いノートをいつも持ち運んでたんだけど、小五の夏頃だったかな、ピアノ教室で偶然それを拾ったことがあって。ちょっとだけ中覗いたら、毎日の練習の記録や反省がびっしり書かれてた」
ひえええ。
あたしが小五の頃なんて、次はなにを舞ちゃんとお揃いにするかで毎日頭がいっぱいだった気がする……。
『この我輩が生徒会長でいる間は、音楽に関して中途半端なことは許さないのだよ』
そういえば会長、あんなことも言ってたな。
ちょっと怖くて気難しいけど、あの人もまた、音楽に真剣に向き合っている人間の一人なんだ。
すごいなー。
あたしなんて、ベースだけでやっとなのに。
「なんで自分はこんなに頑張ってるのに勝てないんだろう、才能の差は覆せないのかなって、どんどん変な方向に考えちゃって」
くりっとした大きな瞳の奥に、灰色の気持ちが少しだけ浮かんでいた。
いつも元気いっぱいなモニ先輩にも、そんなふうに悩むことがあったんだ……。
「だけどあるとき、ひがむのはもうやめにするって決めたんだ」
目を閉じて、すーっと息を吸い込むモニ先輩。
「弓野のやつ、謎の分厚いノートをいつも持ち運んでたんだけど、小五の夏頃だったかな、ピアノ教室で偶然それを拾ったことがあって。ちょっとだけ中覗いたら、毎日の練習の記録や反省がびっしり書かれてた」
ひえええ。
あたしが小五の頃なんて、次はなにを舞ちゃんとお揃いにするかで毎日頭がいっぱいだった気がする……。
『この我輩が生徒会長でいる間は、音楽に関して中途半端なことは許さないのだよ』
そういえば会長、あんなことも言ってたな。
ちょっと怖くて気難しいけど、あの人もまた、音楽に真剣に向き合っている人間の一人なんだ。
