ハートがバキバキ鳴ってるの!

「ちょ、えっ、えー!! ほんとですか!?」
 思わず身を乗り出して、危うくベッドから落ちそうになった。
 急に動いたせいで、頭のてっぺんがズキッと痛む。

「うん、まじまじ!」
 そう言いながら、窓の向こうに視線を向けるモニ先輩。
 甘酸っぱい光をたたえた瞳は、まるで青空の中に記憶を探しているみたいだった。

「私やてっちゃんのいた小学校に弓野が転入してきたのが、小三の四月。あいつそのまま、私の通ってるピアノ教室に入ってきてね」
 なるほど。
 最初のオーディションのあとの、モニ先輩と弓野会長の意味深な会話。
 あのやりとりの中身が、なんとなく見えてきた気がする。

「入会初日にあいつがみんなの前でピアノ弾いたんだけど、その演奏がもうほんっとにすごくてさ。私、先生に『感想ある人はいますか』って聞かれた時すぐ手を挙げて、そのまま告っちゃった」
 モニ先輩、やっぱパワフル……!

「で、どうなったんですか?」
「普通に振られたよ。『(つつし)みたまえ』とか言われて」
 弓野会長って、昔からあんな喋り方なんだな。