「シュミットのギターの音初めて聴いたとき、頭に雷落ちたみたいな気分になったんだよなあ」
浅野くんが、独り言のように語り始めた。
「何回も何回もリピートして、そのたびに圧倒されて、どんどん体が熱くなってさ。その夜は、ベッドに入ってもちっとも眠れなかった」
「へー、そうなんだ!」
話を聞いているうち、その内容よりも、目の前の男の子の顔に引き込まれているあたしがいた。
「今流れてる曲が一番有名だけど、アルバム曲はもっとヤバいんだぜ。去年出た最新アルバムに入ってる——」
ちらっとあたしのほうを見た浅野くんが、急に言葉を切った。
「ご、ごめん。つい喋りすぎた」
いつもあたしをにらんでくる瞳が、逃げ場を探すようにおろおろと地面を彷徨っている。
「どうでもいいよな、こんな話」
「あたし、知らなかった」
「ん?」
「浅野くんって……笑うんだね!」
迫力のある切れ長の目も、隙のないサラサラの髪も、いつも通りだけど。
口元を緩めて、身振り手振りを交えながら生き生きと推しについて語る。
「なんだろう、こういうのを、『少年のような笑顔』っていうのかな?」
「おれは少年だ」
「ねえ浅野くん、今の話、もっと聞かせて!」
「練習サボろうとする魂胆がバレバレだぞ」
「違うよ! 浅野くんの今の顔好きだなって思って」
「は?」
「あ、えっと、そうじゃなくて」
変に誤解を与えるような言い方をしてしまった。
だけど、本心だった。
練習もしなくちゃいけないのはわかっていたけど、さっきみたいな浅野くんの表情をもっと見てみたかった。
「別に、これ以上話すことなんてないし」
浅野くんはそう言ってそっぽを向いたけど、あたしはもう止まらなかった。
「一番好きな曲はなに? このバンドの他のメンバーのことも教えて!」
話すことなんてない、と言った割に。
結局浅野くんはそれから二十分以上もの間、シュミットさんや彼女のバンドのことを語って聞かせてくれた。
浅野くんが、独り言のように語り始めた。
「何回も何回もリピートして、そのたびに圧倒されて、どんどん体が熱くなってさ。その夜は、ベッドに入ってもちっとも眠れなかった」
「へー、そうなんだ!」
話を聞いているうち、その内容よりも、目の前の男の子の顔に引き込まれているあたしがいた。
「今流れてる曲が一番有名だけど、アルバム曲はもっとヤバいんだぜ。去年出た最新アルバムに入ってる——」
ちらっとあたしのほうを見た浅野くんが、急に言葉を切った。
「ご、ごめん。つい喋りすぎた」
いつもあたしをにらんでくる瞳が、逃げ場を探すようにおろおろと地面を彷徨っている。
「どうでもいいよな、こんな話」
「あたし、知らなかった」
「ん?」
「浅野くんって……笑うんだね!」
迫力のある切れ長の目も、隙のないサラサラの髪も、いつも通りだけど。
口元を緩めて、身振り手振りを交えながら生き生きと推しについて語る。
「なんだろう、こういうのを、『少年のような笑顔』っていうのかな?」
「おれは少年だ」
「ねえ浅野くん、今の話、もっと聞かせて!」
「練習サボろうとする魂胆がバレバレだぞ」
「違うよ! 浅野くんの今の顔好きだなって思って」
「は?」
「あ、えっと、そうじゃなくて」
変に誤解を与えるような言い方をしてしまった。
だけど、本心だった。
練習もしなくちゃいけないのはわかっていたけど、さっきみたいな浅野くんの表情をもっと見てみたかった。
「別に、これ以上話すことなんてないし」
浅野くんはそう言ってそっぽを向いたけど、あたしはもう止まらなかった。
「一番好きな曲はなに? このバンドの他のメンバーのことも教えて!」
話すことなんてない、と言った割に。
結局浅野くんはそれから二十分以上もの間、シュミットさんや彼女のバンドのことを語って聞かせてくれた。
