ハートがバキバキ鳴ってるの!

「なんだ、お前?」
 橋之口が、怪訝(けげん)そうに浅野くんを見る。
「その人さ、まだ練習中なんだよね。用事がないならどっか行ってくれる? 邪魔だから」
「はあ? まず誰だよお前? 初対面の人間にそんな口聞いていいと思ってんのか?」
「初対面だろうが知り合いだろうが、さっきみたいな口の聞き方は人としてどうなんだ?」

 いったいどの場面から聞かれていたんだろう。
 みじめな姿を(さら)してしまったと思うと、ズキリと胸が痛む。

「それ以上その人の邪魔するなら、部活の妨害されたって先生に報告しよっかな。おれ、学年八位だから先生たちに好かれてるんだよね」
 冷ややかな目で凄む浅野くん。

「ちぇ、めんどくせー」
 橋之口は舌打ちしてポケットに両手を突っ込み、あたしに背中を向けた。
「お前ってさ、いつも(●●●)誰かが守護神みたいについててラッキーだよな」
 コツコツと廊下を歩きながら、ポイ捨てするように続ける橋之口。
「自分じゃなにもできないくせに」

 立っているのがやっとだったあたしは、ナイフのようなその言葉から身を守ることができなかった。