ハートがバキバキ鳴ってるの!

「よいか、この我輩が生徒会長でいる間は、音楽に関して中途半端なことは許さないのだよ」
 毅然(きぜん)と言い放つ弓野会長の姿は、まさに「権力者」って感じ。

「意味わかんねー、オレらの演奏を楽しみにしてくれてるお客さんがいるっつーの。出演停止なんて納得できっかよ」
 あたしの左隣のセラ先輩が、喧嘩腰で言い返す。
 こんなに怒気を帯びたセラ先輩の声を聞くのは初めてだった。

「弓野くんの言う通り、僕らの演奏には未熟な部分があるのかもしれません」
 今度は三つ左から、場違いなほどにぽかぽかとした声が聞こえた。
「けれども、文化祭本番までにはきっと改善できますので。悪いところがあったなら、具体的に教えてくれませんか?」
 テツ先輩は、こういう時でも穏やかだ。

「ふーむ」
 腕を組んだまま下を向く弓野会長。リズムを取るように、右手の人差し指で左の肘あたりをトントンと叩いている。
「たしかに、今の時点で出場を諦めてもらうというのは、少しばかり早計かも知れんな」
 期待を込めて次の言葉を待っていると、やがて生徒会長がおもむろに口を開いた。
「どうしても出たいというのなら、条件がある」
 条件? 
 弓野会長が裁判官のような目つきで見据えた先は、あたし。
 ……え、なに?

「ベーシストをクビにしたまえ」
 バリトンボイスが、心臓を貫通した。