「今日のところは解散だ。何か質問がある者は個別で残るように」
「はーい! 質問ありまくりです! どうして私たちは出ちゃダメなんですか!」
 モニ先輩が勢い良く手を挙げながら弓野会長に尋ねる。
 他の出演者たちは、気まずそうにあたしたちと会長の様子をうかがいながら、体育館の外へ出ていった。

 生徒会や実行委員会の人たちは後片付けに向かい、弓野会長だけが残ってあたしたちと向かい合っている。
 学校の代表として威厳たっぷりの弓野会長。
 五対一でやっと釣り合うほどの迫力だ。
 あたしは、モニ先輩を真ん中にした横並びの右端で小さくなっていた。

「端的に言えば、技術の問題だ」
 鉄の表情をしたまま淡々と答える弓野会長。
「技術? 文化祭ライブに出ちゃいけないほどひどい演奏だったってわけ?」
 モニ先輩が、勢い込んで問い詰める。
 弓野会長は一歩も引かなかった。
「君たちの演奏は、バンドとしての完成度が著しく低い」
 
 そう言われてたって、あたしには全くピンと来なかった。
 だって、あたしたちの演奏はなにもかも普段通りだったはず。
 モニ先輩のキーボードはきれいで、テツ先輩のドラムはかっこよくて、セラ先輩の歌声はうっとりさせるものだったし、浅野くんのギターだってキマってた。

 あたしたちのなにがそんなにダメだったんだろう……。