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 最後に参加者全員で集まってミーティングがあるとのことだったので、片付けを終えたあたしたちは、体育館で残りのオーディションを見学しながら待っていた。
 
 ジャズ部の演奏が終わったあと、弓野会長の指示で全参加者が舞台下に集まった。
 
 よし、ミーティングが終わればやっと帰れる!
 初めての人前の演奏で疲れたからかな、お腹がとってもペコペコだ。今日の晩御飯はなんだろう。
 今日の夜は、久しぶりにベースの練習せずにのんびり過ごそっと。

 全員の集合を確認した弓野会長が、おごぞかなバリトンボイスで話し始めた。
「オーディション、ご苦労だった。各々のパフォーマンスにはまだ向上の余地が見られるものの、本番までに整えてくることを期待している」
「えらそうなやつ」
 あたしの前にいるセラ先輩がぼそっと呟いた。

「それでは諸君、文化祭までしっかりと練習を続けるように。今日のところはこれにて解散だ。それから、最後に——」
 「お疲れ様でした」の礼に備えていたあたしは、棘のある声を耳にして動きを止める。

「一組だけ、出演を許すことができない組がある」
 ピンと張った空気のなか、弓野会長が右手を持ち上げた。
 指差した先は、なんとモニ先輩。

「エントリーナンバー3、軽音部。君たちの出演は認めない」