ハートがバキバキ鳴ってるの!

 部室に全員が揃って十分ほど経った時。
 五人が無言で息を合わせたかのように音出しを中断して、室内が静まり返った。
「みんな、準備はいい?」
 モニ先輩が部室を見渡し、全員がこくりとうなずく。
「それじゃ、いくよ!」
 キーボードのきれいな旋律から、曲が始まった。

 二小節目の終わりから、ベースとドラムが入る。
 あたしの指先が生み出す低音が、モニ先輩、テツ先輩の奏でる音と絡み合った。
 
 最初の日と同じように、部室を満たすまぶしい音楽。
 だけど、あのときは違って、今は自分もこの曲を形作る一員で。
 興奮と緊張が入り混じって、指先がカチカチと強張(こわば)る。
 
 バンドって、すごいな……。
 一人で曲に合わせて練習している時だって、十分楽しい。
 けれども、生でみんなと合わせている間の心踊る気持ちは、個人練とは比べ物にならないくらい大きなものだった。

 テツ先輩の鋭いドラミング、モニ先輩の鍵盤の美しい音色、浅野くんのリズミカルなギターフレーズ、セラ先輩のうっとりするような歌声。
 四人の奏でる音に、あたしのベースの音を合わせる。

 浅野くんのはっとするようなかっこいいギターソロを経て、セラ先輩の伸びやかな声が響き渡る最後のサビに突入——
 
「ふわあ、楽しかった!」
 音が止んだ瞬間、思わず大きな声が飛び出した。

 最初から最後までずっと緊張しっぱなしだったけど、そこそこ手応えはあった。
 何回かミスしちゃったとはいえ、一応ちゃんと形にはなったはず。

「ねえ浅野くん、あたしの演奏どうだった?」
 ふと左隣の浅野くんの横顔が目に入って、期待に胸を膨らませながら尋ねてみた。