ハートがバキバキ鳴ってるの!

 ※ ※ ※

 こうして、あたしの軽音部生活が本格的に始まった。

 軽音部の定期活動日は火・木・金の週三回。
 月・水・土も部室は利用可。モニ先輩と浅野くんはだいたい毎日部室に来ている。
 テツ先輩は塾があるから月・水はほとんど来ない。
 セラ先輩は、定期活動日以外は女の子とふらふら遊びにいくことが多いようだ(本人曰く、『作詞のインスピレーションを得るために必要』なんだって)。

 塾も他の部活も(そしてデートの予定も!)ないあたしは、ときどき帰宅部の友達と遊ぶ日以外は、モニ先輩や浅野くんに混じって平日ほぼ毎日部室に通った。
 教則本を読んだり、わからないところはモニ先輩とかに教えてもらいながら、ベースの基礎技術や「君の瞳はマグネット」の楽譜を少しずつ覚えていった。

 そうして、入部から二週間経った四月二十三日、金曜日。
 放課後、あたしはドキドキとるんるんが入り混じった足取りで部室にたどり着いた。
 今日はいよいよ、一曲通してみんなと合わせる日だ。

 ホームルームが早めに終わったあたしは、先輩たちが揃うのを待ちながら、チューニングを済ませて練習をしていた。
 サビの盛り上がるところが一番好きなんだよね。自主練してる時もついそこばっかり弾いちゃう。

「そのフレーズ、苦手なのか?」
 同じ部分を繰り返し弾いているあたしに、浅野くんが尋ねてきた。
「ううん。ここ楽しいからずっと弾いちゃうんだよね。音が少しずつ上がっていくところゾクゾクしちゃう!」
「ふーん」
 自分で聞いてきたくせに、そっけない相槌を打つ浅野くん。やっぱイヤなやつ!

 あたしはそのまま、先輩たちが揃うまでいくつかの好きなフレーズを繰り返し練習した。
 苦手なのは二番のBメロなんだけど、「難しかったら今は一番と同じでいいよ」ってモニ先輩が言ってくれたから、今日はとりあえず大丈夫だ。

 できないことを、無理してやる必要はない。