部室に戻ってきた浅野くんは、自分の身長より少し短いくらいの弦楽器を両手で抱えていた。
わあ、これがベースか。
形はギターによく似てるけど、ちょっと大きい気がする。
明るめな黄色のボディで、結構かわいい。
これから、あたしがこの楽器を奏でるんだな……。
さっきの浅野くんたちみたいに人前で演奏する自分の姿を想像して、ゾクゾクしてきた。
「ギターとベースの違いはわかる?」
浅野くんに尋ねられて、勢い良く首を横に振った。
「いえ、まったくわかりません!」
気持ちが高ぶり過ぎて、普段の倍くらいの声量が出る。
「はあ……」
浅野くんのため息から、「勘弁してくれ」という苛立ちが聞こえた。
だって仕方ないじゃん! 今日いきなりここに連れてこられたんだもん!
部屋の隅のスタンドから自分のギターを取ってきた浅野くんが、二本の弦楽器を左右の手に掲げつつ、あたしに説明してくれた。
「まず、見てわかる通り、弦の数が違う。ギターの弦は六本、ベースの弦は四本。例外もあるけど、これが基本」
「ふむふむ!」
「それから、出る音の違いな。ざっくり言うと、ベースのほうが低い音が出る」
「ふむふむ!」
「んで、あとはバンド内での役割の違い。ギターはハーモニー担当。曲に彩りを与えるのが役目。ベースは『リズム隊』として、ドラムと一緒に曲の土台を作る」
「ふむふむ……」
「わかってないだろ」
「ふむ……じゃない、はいわかりません!」
「役割」あたりの部分からついていけなくなったのがバレていた。
「理解できてるふりをするな」
「だって、途中で止めたら、またため息つかれそうだし……」
「つくけど」
「ほら、やっぱり!」
はあ、やだやだ。この子、ギター上手いけど、教えるのは全然向いてないと思う。
「ま、この辺の話は今聞いても難しいはず。本気で音楽やる決意ができたら、自分で調べな」
むかーっ!
「なにその言い方!」
ハイテンションに身を任せて、あたしにしては珍しく浅野くんに言い返しちゃう。
「まるであたしが気まぐれでここに来たみたいじゃない!」
「違うのか?」
「そうだけど……」
わあ、これがベースか。
形はギターによく似てるけど、ちょっと大きい気がする。
明るめな黄色のボディで、結構かわいい。
これから、あたしがこの楽器を奏でるんだな……。
さっきの浅野くんたちみたいに人前で演奏する自分の姿を想像して、ゾクゾクしてきた。
「ギターとベースの違いはわかる?」
浅野くんに尋ねられて、勢い良く首を横に振った。
「いえ、まったくわかりません!」
気持ちが高ぶり過ぎて、普段の倍くらいの声量が出る。
「はあ……」
浅野くんのため息から、「勘弁してくれ」という苛立ちが聞こえた。
だって仕方ないじゃん! 今日いきなりここに連れてこられたんだもん!
部屋の隅のスタンドから自分のギターを取ってきた浅野くんが、二本の弦楽器を左右の手に掲げつつ、あたしに説明してくれた。
「まず、見てわかる通り、弦の数が違う。ギターの弦は六本、ベースの弦は四本。例外もあるけど、これが基本」
「ふむふむ!」
「それから、出る音の違いな。ざっくり言うと、ベースのほうが低い音が出る」
「ふむふむ!」
「んで、あとはバンド内での役割の違い。ギターはハーモニー担当。曲に彩りを与えるのが役目。ベースは『リズム隊』として、ドラムと一緒に曲の土台を作る」
「ふむふむ……」
「わかってないだろ」
「ふむ……じゃない、はいわかりません!」
「役割」あたりの部分からついていけなくなったのがバレていた。
「理解できてるふりをするな」
「だって、途中で止めたら、またため息つかれそうだし……」
「つくけど」
「ほら、やっぱり!」
はあ、やだやだ。この子、ギター上手いけど、教えるのは全然向いてないと思う。
「ま、この辺の話は今聞いても難しいはず。本気で音楽やる決意ができたら、自分で調べな」
むかーっ!
「なにその言い方!」
ハイテンションに身を任せて、あたしにしては珍しく浅野くんに言い返しちゃう。
「まるであたしが気まぐれでここに来たみたいじゃない!」
「違うのか?」
「そうだけど……」
