ハートがバキバキ鳴ってるの!

 現れたのは、あの弓野会長。
 舞台裏で仕事をしていた会長を、ピンチヒッターとしてモニ先輩が呼び出してくれたってわけ。

「いいじゃん! 『堅苦しい生徒会長』ってイメージをぶち壊しちゃいなよ!」
「音楽に妥協はしないって言ってたよな? 期待してるぜ」
 いじわるな笑みを浮かべたモニ先輩とセラ先輩が、会長の肩をポンポンと叩く。

「繰り返すが、どんなに伸びても二曲目までだぞ。我輩も仕事がある上、この短時間で覚える分量としても二曲が限界だ」
「大丈夫! その頃にはきっとうちのギタリストが現れるから!」

 そう言ったあとモニ先輩は、瞳にどこか懐かしげな光をたたえて続けた。
「久しぶりね、あんたと合奏するの」
「一度切りだからな」
「ええ、一度切りですね」
 めんどくさそうに答えた弓野会長の言葉に、テツ先輩が短い相槌を重ねる。

 なんとなく、いつものテツ先輩と比べて冷たさを感じさせる声色だった。